赤本は入試一ヶ月前まで触るな! [受験勉強]



前回に引き続き、過去問の正しい使い方についてお話します。
大切なことは、
「一ヶ月前までは過去問題の中身を見てはいけない!」
という点です。

過去問題はどのように使うべきなのでしょうか?
この答えは決まっています。
「入試を疑似体験すること」です。
もう一つの大切な役割が、「入試傾向を分析する」ことですが、それは予備校や学習塾に通う生徒であれば、学習計画立案者が行なっていることなので、本人が行なう必要はありません。
場合によっては学校の先生や親が行なっています。
完全独学で勉強をしている子供に限り、自分で行なう必要があります。
それはさておき・・
「なぜ一ヶ月前まで過去問題をやってはいけないんですか?不安なので、早く解きたいんですけど・・」
こういう声が聞こえてきそうです。
逆に聞きますが、事前に解いたことのある問題でテストをしたとして、正しい実力が把握できるでしょうか?
出来ませんよね?
この問題知っている!となれば、もちろん解けてしまい、実力+αの点数になります。
ここで昨日の復習をします。
模試の合格判定でボーダーラインは何判定でしたか?
そのボーダーラインを超えている子供であれば、入試問題の過去問を解いたときに、合格最低点を超えていなければおかしいのです。
具体的に例を出して説明しましょう。
普段の模試結果では、「B」か「C」判定のZ高校を志望するK君の場合です。
過去問題を解くと、326点となりました。
しかし、赤本の巻頭の資料から、その年度の合格最低点を見ると、360点となっています。
この生徒の場合、合格点と現状の差分は34点です。
「うわぁ・・これじゃあ不合格だぁ・・」
過去問題はこういう風に使うものではありません。
僕ならこう考えます。
この生徒は普段の模試でC判定以上が出ているので、合格最低点の360点を取る実力は備わっているのです。
合格点までの差分の34点は実力がないのではなくて、その分、効率の悪い解き方をしていた点があったと考えるのです。
あとはその点を徹底的に分析します。
例えば、英作文は苦手なので、その問題を解く時間を捨てて英語長文に充てるといった具合に。
そして、英作文が受験一ヶ月前にも関わらず苦手なのであれば、もうやりません。
この時点で苦手なことが、一ヶ月で出来るようになるはずはないからです。
それよりは長所を伸ばすことを考えます。
受験一ヶ月前にもなると誰でも不安です。
不安を助長するような勉強法ではなくて、安心を強化するような勉強をしなければなりません。
より安定した成績となるように、得点源となっている単元を確実に量稽古します。
あとは、暗記物を中心に宿題を出していきます。
受験当日に向けて、生活リズムをコントロールしていく時期なので、宿題は出しすぎないように注意していきます。
受験科目を最低5年分は過去問で行なうようにします。
そして、それぞれの年度の点数を合格基準点と比較していくのです。
例えるなら、同じ学校の入学試験を5回体験しているようなものです。
前の年度の過去問に取り組むのは、入試の一週間前くらいでしょうか?
すでに対策が充分に行なわれているので、ほぼ全員が合格基準点を越えます。
(模試でC判定以上が出ていなかった生徒は越えるとは限りません)
これは当たり前の話なのです。
模試の判定でボーダー以上が出ているわけですから・・。
ただ、実際にやってみるとわかるのですが、C判定とかB判定の生徒というのは、一回目の過去問題では合格最低点にすら届かないことが頻繁にあります。
A判定の生徒でも珍しいことではありません。
特に、中学受験や高校受験というのは、本人にとって初めての入試である場合が多いので、効率的な点数の取り方というのをよく分かっていないのです。
もしこれが本番の入試だったら・・・。
恐ろしいことです。
模試の判定に安心して、自信満々で入試に行って、玉砕してしまいます。

そうした不確実な要素を取り払うのが、過去問を解く本当の意味です。
一回解いた過去問題は、三回は復習に活用したいところです。
高校受験生であれば、本命校受験前の一ヶ月は
5科目×5年分×三回=75回
一回分に1時間平均とすると、これだけで75時間もかかります。
一日当たり2.5時間、過去問と向き合うわけです。
要するに入試一ヶ月前は過去問ばかりやっているということです。
一日の勉強時間が高校受験生であれば、4時間。
そのうちの半分以上が過去問をやっている時間となります。
個人で行なうなら、土日に第一回目の過去問を入試と同じ時間割で行なうことをおススメします。
滑り止め校の場合なら、
5科目×3年分、×1,2回=15回分
くらいでいいと思います。
本命校でなければ、やりすぎる必要はありません。

さてさて、絶大な効果のある過去問題ですが、一番重要な前提条件をまだお話していません。
それは、「なるべく入試と同じ緊張感で行なうこと!」です。
実は、これが一番難しい点となります。
難しい理由は・・
①時間をしっかりと計測し、その通りに行なわなければならない
②答えを見てはいけない
③採点を正しく行なわなければならない
こんな条件があるからです。
半分の時間で解けたとしても、残り時間を有効活用しなければなりません。
どうしても答えが気になっても決して解答を見てはいけません。
証明問題の部分点なども踏まえた上で、総合の正しい合計点を求めなくてはなりません。

小中学生の場合、これを個人で行なうのは困難を極めます。
ゆえに僕は過去問指導だけは全て塾で行なうようにしていました。
時間計測や採点も全て講師が行います。
塾に行っていない場合・・
親や兄弟が頑張るしか、仕方ないでしょうね。
土曜日や日曜日を使って行ない、時間計測や採点は年長者がします。
最初の一回分だけで良いので、受験校1校なら5年分×5教科です。
それでも、一ヶ月で25時間もの時間が拘束されます。

でも、それだけの価値はあります。
塾に頼めば、何万円とします。
受験を子供と一緒に頑張るなら、こんなにいい応援はないと思っています。

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