「本質」の反対語は? [論理的思考能力]


こんばんは。
色々と問題を抱えながらも、被災地は復興に向けて少しずつ歩み始めているようです。
みなさんは今朝のYahooのトップページで表示されていた写真を見られましたか?

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110322-00000007-maip-soci.view-000

悲しいニュースを耳にする一方で、こうした子供の笑顔や明るい記事に励まされることも多いです。
本当に地震があったことなんて嘘みたいに思えてしまう写真ですね。
健やかに育っていただきたいなと思います。
使い古された表現ですが、最悪のときが過ぎれば、あとは良くなっていくだけです。
人間の幸福感は、現在ではなく、過去との比較、周囲との比較の中で実感されていくものです。
被災地の方々が一歩ずつ良い方向へと進んでいかれ、幸福感の感じることの出来る日々が一日でも早く来るようにお祈りしています。

さて、本日は久しぶりの通常記事です。
今回の記事を境に、更新頻度も従来の週一回程度に戻すつもりです。
ここ数日間、頻繁にブログに訪れていただいた読者の方々、ありがとうございました。

本題に入ります。
今日の題名ですが、みなさん「本質」の反対語を知っていますか?
「本質」の反対語は、「現象」なのですが、それが何故だか説明出来るでしょうか?
少なくとも、私にはとても難しいことのように思えます。
「現象」っていうと、例えば心霊現象のように、何かが起こったって意味なのでは?
それと「本質」がどのように対応するわけ???
このように頭が混乱していました。
しかし、今日の記事の内容を理解していただければ、「本質」の反対語は「現象」であるという意味がよくご理解いただけるのではないかと思います。
誰が、この二語を対応させたのかは知りませんが、日本語ってすごいなと改めて感心しました。
今日の記事を読んでも、「本質」の反対語が「現象」である理由が良く分からなければ、それは私の責任ですので、どうかお許しください。
では、最初に「現象」の正しい意味から。
「現象」とは「人間が知覚できる物事」の事を指します(「大辞泉」より)。
この時点で言葉の意味を勘違いしていた方も多いのではないでしょうか?
(ちなみに私もその一人でした)
とは言え、これだけでは「本質」の反対語であるようには思えません。
なぜ、反対語と言えるのかまずは下の図をご覧ください。

図1.jpg

これが今日のブログで説明したいことの全体像です。
これだけでは何のことか意味がわからないと思いますので、説明を加えていきます。
社会人になると、「その問題の本質は何だ?」とか、「本質的に考えろ!」とか、「本質を見抜く力が大切だ。」とか言われたりします。
そのために必要な思考の矢印はオレンジ色で示しました。
それに対して、こういう事を言われる場合もあります。
「全体像はどうなっているんだ?」とか、「要点をまとめて話せ!」とか、「全体を俯瞰して見る事の出来る視野の広さが大切だ。」といったようなことです。
そのために必要な思考の矢印はピンク色で示しました。
では、詳しく説明を加えていきます。
例えば、Y中学校では他校に比べて、「遅刻が多い」傾向があるとします。
「遅刻が多い」というのは、「現象」です。
ここでは仮に図のボックスのDに「遅刻が多い」という「現象」を書き込みます(図1)。

図2.jpg

上の図で言えば、上に行くほど「本質」的なことを表します。
最も下の段は個々の「現象」を表しています。
データなどにより、「遅刻が多い」という事実が発覚したので、それをそのまま書いた状態です。
ここで、コンサルティングファーム出身のZ先生に登場してもらいましょう。
(※コンサルタントという職業は問題解決を仕事にしているので、こういう思考が得意なのです)
彼ならこのように考えます。
まずは、上方向に向けた思考。
「なぜ遅刻が多いのだろう?」
つまり、より本質的な原因に向けて思考を掘り下げていくのです。
「WHY?」という問いかけを繰り返すのですね。
彼は仮にこのように考えました(これを仮説思考と言います)。
「遅刻が多い」のは、「いい加減(B)」だからだ。
生徒が「いい加減(B)」なのは、「しつけが徹底されていない(A)」からに違いない。
これを表したのが、図2です。

図3.jpg

論理の流れとしては、

子供達の「A:しつけが徹底されていない」から、

「B:行動面においてだらしない」で、

「D:遅刻が多い」

ということで、A→B→Dの論理は無理なく流れているのではないかと思われます。
これが縦方向。
しかし、Z先生はこれだけでは満足しません。
縦方向の論理の流れを示す根拠がこれだけでは、不安に感じるようです。
そこでZ先生は、この学校で他にどんな問題が起こっているのか調査することにしました。
そうすると、Y中学校は近隣の他の中学校に比較して、
・挨拶の出来ない子供が多い
・宿題忘れが多い
・机の落書きが多い
という事実が新たに発覚しました。
ここで、Z先生はこのように考えました。
「Y中学校は遅刻のみならず、宿題忘れも多いな。やっぱり生活態度全般に問題があるようだ。」
「物事に関してルーズな生徒が多い傾向にあるのは間違いなさそうだ。」
「机の落書きはなくならないな・・。悪いことだと自覚しているのだろうか?」
「それだけではなく、挨拶が出来ないなど人間としての基本動作も不十分だ。」
「人間としての基本動作が出来ていないことと、物事に関してルーズだというのは、しつけが不十分な証拠と言えるだろう。」
このような論理の流れを経て、図3のような表が頭の中に完成しました。

図4.jpg

もちろん、実際にこのような図を思い描いているわけではありません。
これはあくまでも概念図です。
こういうような風に考えるという一例として、眺めてください。
色々な「現象」を集めて、そこから「本質」をえぐりだしています。
この例で言えば、DとEからBという結論を、BとCからAという結論を導き出したわけです。
実際は二つくらいのデータでは「本質」を抽出するのには不十分な事も多く、課題によっては何十もの「現象」を集めて「本質」を導き出していきます。
「本質」に辿り着くと、どんなメリットがあるのか?
この点が最も重要なのですが、本質的な問題に働きかければ、それを原因とするその他の問題も同時に解決できるのです。
上の例で言えば、「しつけ」を徹底することで、DEFG全ての問題が改善されます。
ほぼ全てのケースにおいて、実際に起こる問題は一つや二つではありません。
もぐら叩きのように、一つ一つの問題を潰していくだけでは労力ばかりが無駄になることもしばしばです。
ですから最も重要なのは、問題の根本的な原因=「本質」に働きかける事なのです。
「本質」を外していなければ、それだけで他の問題も解決することが出来ます。
以上、様々な「現象」から「本質」をあぶりだす手法を見てきました。
下から上に見ていく手法で、これを「帰納法」と言います。

次回は逆のケースで、「演繹法」と呼ばれるアプローチを紹介させていただくことにします。

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