年間被ばく線量限度とは? [東北太平洋沖地震]


原発に関する情報の続編をやります。
東京の放射線量については、東京健康安全センターが発表した数値が参考になりました。
お断りを入れた上でそのまま掲載させていただきます。

※左側より、時間、(放射線量の)最大値、最小値、平均値を示しています
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---------------------- 2011年3月16日 -------------------------
01:00 ~ 01:59 0.0607 0.0506 0.0547
00:00 ~ 00:59 0.0599 0.0514 0.0538
---------------------- 2011年3月15日 -------------------------
23:00 ~ 23:59 0.0599 0.0530 0.0556
22:00 ~ 22:59 0.0763 0.0575 0.0657
21:00 ~ 21:59 0.0980 0.0761 0.0888
20:00 ~ 20:59 0.1680 0.0955 0.1230
19:00 ~ 19:59 0.4580 0.1650 0.3610
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18:00 ~ 18:59 0.3200 0.1130 0.2000
17:00 ~ 17:59 0.1570 0.0669 0.0941
16:00 ~ 16:59 0.0749 0.0646 0.0682
15:00 ~ 15:59 0.0715 0.0646 0.0682
14:00 ~ 14:59 0.0752 0.0681 0.0716
13:00 ~ 13:59 0.0722 0.0624 0.0658
12:00 ~ 12:59 0.0777 0.0663 0.0713
11:00 ~ 11:59 0.1510 0.0781 0.1060
10:00 ~ 10:59 0.8090 0.1600 0.4960
09:00 ~ 09:59 0.4650 0.1220 0.2020
08:00 ~ 08:59 0.1230 0.0403 0.0573
07:00 ~ 07:59 0.0507 0.0412 0.0453
06:00 ~ 06:59 0.0576 0.0438 0.0495
05:00 ~ 05:59 0.1120 0.0562 0.0875
04:00 ~ 04:59 0.1470 0.0360 0.1000
03:00 ~ 03:59 0.0384 0.0319 0.0347
出所:東京都健康安全研究センター

昨日のブログに掲載した毎時0.809μシーベルトという数値は3/15の10:00~10:59の間の最大値だということがわかります。
その後、都内の放射線量は落ち着きを取り戻していますね。
2時間後には、およそ10分の1の値にまで下がっています。すなわち通常時の2倍程度です。
目を皿のようにして、各社の記事を読んでいましたが、このように人々を安心させるような情報をすぐに流した報道機関は皆無でした。
放射線量が夜中には最大値で0.0607μシーベルトになっている点からも、都内の放射線量については特に心配するような事態ではなかったということがわかると思います。

今度はこちらの記事を見てください。
本日の内容です。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110316-00000547-san-soci

福島第一原発の正門前で毎時2399マイクロシーベルトの放射線量が観測されたが、その後毎時1361マイクロシーベルトになったという記事です。
それがどのくらいの基準なのかは、昨日の記事と重なりますので触れません。
私が今日書きたいと思ったのは、記事の最後にある文面。

「一般人の年間被ばく線量限度は千マイクロシーベルト」

これの意味するところです。
これだけでは誤った情報を伝えてしまうと思いませんか?
まるで1000μシーベルトの放射線を浴びると、どうにかなってしまうような記述です。
そして、ほとんどの記事はこの数字を金科玉条のごとくそのままのかたちで掲載しています。
なぜなら、その方が恐ろしげに見えるから。
昨日、ブログにも書きましたが、放射線に関わる仕事に従事する人には50000μシーベルト/年間という数字が放射線にさらされる上限と定められています。
(※任意の五年間で年平均20000μシーベルトという別基準もあります)
実際のところ、どのくらいの放射線を浴びると、どの程度の健康被害が出るのかについては、大量の放射線を浴びた場合は別として、細かい数字は良く分かっていないというのが現状です。
それが放射線に対する人々の不安感を助長しているのは確かです。
ただし、それなりの機関が年に50000μシーベルトと上限基準を定め、なおかつその数値上限によって、問題が起こったというような事実がこれまで公表されていない以上、年間50000μシーベルトくらいまでの放射線量は人体に大きな被害はないと判断することが出来ます。
(※この点、議論の余地は充分にありますが・・)
ただ、今回問題にしているのは50000μシーベルトという値ではなく、1000μシーベルトです。
50分の1です。
一般人の被ばく線量限度年間1000μシーベルトというのは、何を基準に算出された値なのか?
説明されているサイトを発見しましたのでリンクを貼っておきます。

http://kotobank.jp/word/%E7%B7%9A%E9%87%8F%E9%99%90%E5%BA%A6

上のリンク先を読んでいただけばいいだけだと思いますので、細かい説明はしません。
私がどう理解しているかを以下書きます。
自然界から通常受ける被ばく量は平均で年間2400μシーベルトです。
これを上回る部分として、年間1000μシーベルトという数値を限度としているらしいのですが、例えば、東京からニューヨークまで飛行機で往復すると、約200μシーベルト被ばくします。
ということは、東京→ニューヨーク間を5往復すれば、上限値に達してしまいますね。
ところが、飛行機に乗りすぎると被ばく線量限度を超えるから、年に○回までにしてくださいというようなお話は聞いたことがありません(当たり前ですが)。
繰り返しますが、これ以下なら絶対安全という放射線量というのはわかっていません。
ということは、年間1000μシーベルトという数字が危険であると言い切ることはできないのです。
逆にそれ以下が絶対に安全と言い切ることも出来ません。
ただ、放射線作業従事者に定められている基準や、飛行機での被ばく量、さらには自然界からの通常の被ばく、といった他の数値基準から勘案してみるに、年間1000μシーベルトというのはそれほどたいした数字ではないのではないか?というのが、私の見解です。
これらのデータから、異なる見方をする方もいるでしょうし、別にそれを否定する気はありません。
絶対安全とは言い切れないのだから、1000μシーベルトなんてとんでもないと判断される方がいてもいいでしょう。
ただ、マスコミの報道で使われる「一般人の年間被ばく線量限度は千マイクロシーベルト」という言葉は、明らかに国民に誤解を与えてしまう表現ですし、それは問題だと指摘したいわけです。

いずれにしても東京都内の放射線量は本日深夜時点で全く問題にならない数値に戻っています。
マスコミの皆さん、これは大きく報道しないんですね。
私が最も恐れているのは、首都圏の無用な混乱です。
それを避ける意味でもこうした情報を流すことに意味はあると思いますが?

変な雨が降るとか騒いでいる人、周囲にいませんか?
どうか安心させてあげて欲しいなと思います。


原発に関する一部の報道について感じること [東北太平洋沖地震]


原発について、いたずらに危機感を煽るような記事を目にする度、本当に腹が立ちます。
なぜ、そのように我々を惑わすような情報が散乱するのでしょうか?
今日はその点を検証してみたいと思います。

今回の件に限らず、人々を不安にさせようとする人がいるのは事実です。
なぜそのようなことをするのか?
理由は大きく二つ考えられます。
一つの理由は、注目されたいから。
もう一つの理由は、その方が人々を操りやすいから。
どういうことかもう少し詳しく書いていきます。

まず、一つ目の注目されたいという理由。
人は自分や家族の身の危険に対して最も敏感に反応します。
それはそうですよね?
明日、命がなくなれば何も出来なくなるわけですから。
ですので、そうした情報に対して人々は過敏になるわけです。
それで誰が得をするのかと言えば、マスコミですね。
視聴率を稼ぐことが出来るわけですから。
マスコミが国民の不安を煽るような報道をする背景にはこうした理由があるのです。
そのように行うことを是として教育されてきたメディアの人たちによる偏った報道は今後もなくならないと考えたほうが良いと思います。
「注目されたい」という理由は個人にも適用されます。
例えば、こんなシチュエーションを想像してみてください。
小学校6年生のクラス。
いつも皆からいじめられるほどではないけれども、無視されがちな存在のA君。
彼の父親が警察官をしていて、学校周辺のどこかに殺人犯が潜んでいるという情報を彼だけが知っていたとします。
彼がそのことをクラスの皆に伝えたとしましょう。
あくまで一時的にですが、彼は注目を浴びる存在として迎え入れられることでしょう。
これは例え話なので、極端な例です。
極端な例ですが、A君と同じ心理を私たちの誰もが持っています。
人から存在を認められたいというのは人間の根源的な欲求だからです。
先に言ったとおり、恐ろしげな情報に人は最も敏感に反応してくれます。
自分がその情報を握ったとしたら、それを誰かに言いたくなるのが普通の心理なんですね。
自分自身を注目してもらうために・・。
このようにして、不安を伴った情報は人から人へ伝わり、拡散していきます。
正確なデータや知識が左脳的な要素だとすれば、感情や直感は右脳的です。
こういうときこそ、左脳をフル回転させて、データや知識という武器を使って正しい判断を下す必要があるのですが、あまり左脳を使えない人はこれが出来ません。
左脳が使えない人を別の言葉で表現するなら、論理的思考能力が備わっていない人です。
こういう人しか存在しなければ、その社会は簡単なことですぐパニック状態に陥ります。
物事を正しく判断できる人に求められることは、情報を正しく把握し、社会不安を助長させないための防波堤となることです。
災害も怖いですが、群集心理が引き起こすパニックも同様に怖いものです。
都内でもすでに買占めに走る人が出たり、その兆候が現れています。
そうなって誰が困るのかと言えば、国民全員なのですから、私たちがしっかりしましょう。
頭に来るのは、情報に惑わされる人たちではなくて、知っていてそういう情報を流すマスコミです。
平常時は彼らも生活があることですし、仕方ないでしょう。
この非常時に及んでも、その体質が変わらない人がいることに怒りを感じずにはいられません。

もう一つの理由。
その方が人々を操りやすいとはどういうことでしょう?
歴史を振り返ると、多くの為政者が人々の恐怖心を巧みに操り、リーダーシップを発揮してきたことがわかります。
人の上に立つ立場の人間からしてみれば、不安を持った集団の方が扱いやすいんですね。
パニックを起して人々が暴走を起してしまうのは逆効果ですが、適度な不安感は常に与えておいたほうが都合がよいわけです。
宗教の教祖などは、こうして人の心をつかみます。
まともでない宗教を想像してみてください。
必ずと言っていいほど、人類の滅亡や世界の混乱を示唆するような内容が示されているはずです。
恐怖心を使うのは、マインドコントロールの最たる手段というわけですね。
このマインドコントロールは、必ずしも悪い方向にばかり作用するわけではありません。
例えば、社員の不安感(会社では危機感と表現されます)を利用し、会社の売上を伸ばした場合などは正しい使われ方をされたと見るべきでしょう。
カリスマと呼ばれる経営者などは大なり小なりこの能力を自然に身につけているはずです。
ただ、会社の再建にしても理想的なのは社員全員が最初から正しく状況を認識していて、各人それぞれが最初から危機感を持っていることでしょう。
社員に危機感を持たせて会社を一体にし、会社倒産の危機を乗り越えた。
結果論的には、それでOKかもしれませんが、そもそも不安感を与えるために働きかけた本人に善意があるのか悪意があるのかは神のみぞが知ることであって、危機感などは本来、人から与えられるべき性質のものではありません。
左脳的要素、つまり情報を正しく判断できる能力を持った人であれば、最初からその状況に応じた危機感を自分自身の中に持っているはずなのですから。
外から操られる人間は、思考停止状態に陥っている人だけです。

各国のメディアがこの未曾有の国難にも関わらず、日本の混乱が少ないことに驚嘆の声をあげています。
これはやはり教育水準の高さにあるのだと思います。
原発の情報にしても、教育が行き届いていない国で同じことが起これば、パニックになるのではないでしょうか?
恐怖心を煽る記事を流すマスコミ→それを真に受けて、人に伝えようとする人々
人々の不安感を巧みに操り、悪事を企む為政者→それを真に受けて、信じてしまう人々
この連鎖反応が起きて、社会的な大混乱が起こるような気がします。
パニックを起した群衆がどうなるかは言うまでもありません。
暴動・略奪・逃げる人による交通の麻痺・買いだめ(少し起こっていますが)・経済活動の停止・・
本当はそのことの方が余程怖かったりします。
福島の人たちが意外に冷静に見えるのは、原発に関わる仕事をされている方が多い分、正しい知識を持って、正しい判断を下せる人が多いからでしょう。
東京都内の人々も今のところ大半は冷静さを保っているように見受けられます。
私たちの姿を世界中の人たちが見ているわけですから、しっかりしたいものです。
この震災からの復興が世界中、そして後世の人たちに誇るべき事例となることを願ってやみません。


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