日本で二番目にたくさんホームランを打った人は? [教育全般]


突然ですが、質問です。
「リーダーシップ」とは何でしょう?
少し考えてみてください。

答えは後で述べることにして、続いて質問です。
①日本で一番高い山は何でしょう?
②日本で一番大きな湖は?
③日本で一番たくさんホームランを打った人は?
それほど難しい質問ではないと思いますので、答えは省略します。
では、ここでさらに質問。
①から③までのそれぞれの第二位を答えてください。

・・・

答えられた方はさすがです。
物知りですね。
でも、普通は分かりません。
(答え 山:北岳、湖:霞ヶ浦、ホームラン:野村克也さん)
山と湖はいいとして、ホームランの記録は盲点だと思いませんか?
元楽天イーグルスの野村監督と言えば、知らない人は皆無と言っていいほどの有名人です。
それほどの人なのに、ホームラン数歴代2位という大記録を知っている人はあまりいません。
ここで、何が言いたいのかと言えば、1位と2位の間にある認知度における圧倒的な差です。
1番になることにはそのくらい圧倒的なインパクトがあるんですね。
だから、人に強く印象を持ってもらうには、1番になることが大切だということが言えます。

ここからが重要なお話。
1番が強く印象付けられるには違いないのですが、お話はそれほど単純ではないのです。
例えば、世界一高い山はエベレスト。
では、世界一大きな湖は何でしょう?
この質問に答えることと、日本一の湖を答えるのは、どちらが簡単でしょうか?
人にもよるでしょうが、関西圏の人ならまず間違いなく「日本一の湖」の方が簡単に感じるはずです。
いったい何が言いたいのか。
「遠くの親戚より近くの他人」ではありませんが、自分自身にとって身近な1番の方が、強く印象付けられる場合もあるということです。
少し難しく言えば、自分自身の中に客観的な基準と主観的な基準があって、主観的な基準が客観的な基準に優先される場合があるということ。
客観的に一位になるのは、難しいことです。
ところが、主観的な土俵というのは、それぞれの心の中に無限にありますから、その中で一番になるのは上手くやれば誰にでも可能です。
例えば、「今の友達グループの中で一番将棋が強い」のように。
大切なのは、一番であることです。
それが主観的なものであれ、客観的なものであれ、どちらでも構いません。

さて、ここで最初の問いの答えです。
リーダーシップとは何か?
僕はリーダーシップについてセミナーを行うことがあります。
この問いかけに対する受講者の答えはだいたい以下のようなものとなります。
「皆を率いていく力」
「人をまとめる力」
「説得力」
・・・などなど
どの答えも間違ってはいません。
もっともな回答ばかりなのですが、これらの回答はすべて「リーダーとは何か」について語っているものばかりです。
心理学上は、リーダーとリーダーシップは別々のものと考えます。
そこでは、リーダーシップは「集団目的の達成における集団の活動に影響を与える過程」と定義されているのです。
簡単に言ってしまえば、「影響力」のことです。
つまり、影響力=リーダーシップと捉えてほぼ間違いないでしょう。

議論があちらこちらに飛んで申し訳ないのですが、社会で活躍するとはどういうことでしょう?
僕は、組織活動を通じて(あるいは個人で)社会に対してどれだけ大きな影響力を発揮できるかだと考えています。
いい意味でも悪い意味でも大きな影響力を発揮している人を、世間一般は「活躍している人」とみなします。
もちろん、その影響力がいい方向に発揮されるに越したことはありません。
影響力のある人には、報酬で報われるのが今の社会のシステムですね。
すなわち、リーダーシップのある人が成功するようになっているのです。

では、肝心のリーダーシップはどのような場合、最大限に発揮されるのか?
これは難しい問題なのですが、間違いなく効果的なのが「受け手にとって一番の存在であること」なんです。
例えば、上司が部下に対して、
「仕事を一生懸命にやることが、自分自身の成長や幸せにつながる」
と叱咤激励したとします。
全く同じ言葉を、会社の中でNO1である社長が言うのと、昨日係長になったばかりの上司が言うのとでは、部下に対する影響力は全く異なるでしょう。
「お前には言われたくない」と思われていれば、どんな立派な言葉や正論も部下に対する影響力を持ちません。
すなわち、リーダーシップを発揮できないのです。
これでは人を動かせません。
特に理由もないのに、「お前には言われたくない」と思われてしまう原因は単純で、要するに「自分よりも格下の人間に言われたくない」と相手に思われてしまっているからです。
でも、自らがその相手にとって、(主観的・客観的問わず)一番の相手であればそう思われることはありません。
「語るに足る」資格を持っていると思ってもらえれば、相手は話を聞いてくれるでしょう。

中学生や高校生でも大人に対してリーダーシップを発揮できます。
最近twitterで有名になった高校生がいましたが、彼はいい例でしょう。
(参考URL)
http://mainichi.jp/select/opinion/hito/news/20101211ddm008070070000c.html
彼はtwitterに詳しい高校生という土俵で一位となり、大きな影響力を発揮しています。

もちろん、受け手に対しての影響力を左右する条件は他にもあります。
たとえ、「日本一○○ができる」相手でも嫌いな相手の言う事はきかないでしょう。
たとえ、社長の発言でも自分自身の価値観に合わなければ言う事はきかないかもしれません。
たとえ、前の会社でNO1の実績がある人でも、その人を認めていなければ言う事は聞きません。
ただ、そうした個人的な事情をすべて排除したとき、人が誰の言葉を聞くかと言えば、一番の人の言葉を最も良く聞きます。
なぜ、一番の人の言葉を聞くかと言えば、その人の印象が強いからです。
強い印象を持つ人の言葉は、頭に響きやすいわけですね。

まとめます。
「経済的に豊かになること=人生における成功」ではありませんが、お金は幸せの基準を図る尺度の一つには違いありません。
なぜなら、お金がある人ほど人生の選択肢は多いからです。
お金は本人が発揮した何らかの影響に対する対価だと考えることが出来るので、影響力が強い人ほど経済的に成功できる可能性が高くなります。
社会に対して影響力の強い人材になるためには、他人に対しての強い印象が必要です。
強い印象を持ってもらうための最もシンプルかつ強力な手段が、一番であること。
特に1番と2番の間は、数字における差はほんの僅かでも、印象という点で天と地ほどの差があるというのは先に述べた通りです。

「一番になる」
もちろん、これが影響力を高めるための唯一無二の方法ではないです。
けれども、影響力(≒リーダーシップ)を高めようと考えたときにはかなり効率的な手段です。
これを教育に活かさない手はありません。
どういう意味かと言えば、人を育てるときには、相手に「一番になる」ことを強く意識付けさせるようにするべきだということ。
「一番になる」ことは必ずしも難しいことではありません。
一番になる方法は無限にありますし、そのための土俵も無限にあるからです。
ただ、それを見つけるのは容易ではありません。
こういうとき何の分野で一番になれそうか、それを一緒に考えて、継続的にフォローしてくれる人がいると心強いです。
これこそ、親や教師に求められるべき役割でしょう。
教育者の役割とは、徒競走で手をつないで仲良く一緒にゴールさせることなどではないのです。
一番になれた。
そこで得た自信や他人への影響力こそ、その子供にとっての宝物に違いないのですから。

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