「思う」だけでは不十分 [勉強の習慣]


こんにちは。
今日は「思う」と「行う」の間に存在するスペースについてです。

「将来は野球選手になりたいと思ってるんです。」
「大学は国公立大学に行きたいと思ってるんです。」
「高校は自分に合ったところに入学したいです。」
「期末テストではいい点数をとりたいです。」

こうした言葉はまず実現しないでしょう。
「~と思う」や「~したい」という言葉は、要するに願望です。
願望は誰もが持ちますが、それを実現に結び付けられる人はごくわずかしかいません。
世の中の大半の願望は「思う」レベルで停滞してしまっているわけです。
上のような願望を日常レベルにもっと引き下げてみましょう。

「さぁ・・勉強しなきゃ!」

ほとんどの子供はこう思っているわけです。
上の言葉に続く心の声は、と思っている、です。

「さぁ・・勉強しなきゃ!(と思っている)」

ほとんどの子供は別に学校の勉強が不要だとは感じていません。
何もせずに成績が良くなるのなら、全員がそれを望むはずです。
勉強をしなければいけないという強迫観念はあるのですが、それが出来ないだけなのです。
やらなければいけないと思っても、それを実行できない。
これは大人も子供も変わりません。
ある程度の強制力があれば、それを実現させることはあっても、それがなければさぼってしまう。
要するに、「思う」から「行う」までの間のスペースで留まっているということ。
重要なのは、どれだけ多くの願望が、「思う」から「行う」までのスペースを越えられるかです。
繰り返しますが、「願望」は誰もが日常的に持つものです。
「願望」は一つでも多く実現できるのが理想です。
世間一般に優秀とされる人と、そうでない人の違いの一つがここにあります。
優秀な人は願望を「思う」レベルでなく、「行う」レベルで考えているのです。
将来の夢という遠い話から、日常的なレベルの願望にいたるまでそれは変わりません。

「将来プロ野球選手になるために、毎日300回の素振りをする。」
「国公立大学に行くために、予備校の資料を取り寄せる。」
「自分に合った高校とは何か?を知るために近所の先輩を訪ねる。」
「期末テストでいい点数を取るために、勉強時間を1時間増やす。」

どんな小さな行動でも構わないので、具体的な行動レベルで物事を考えているのです。
もっと言えば、日常的に皆が考えること・・・

「さぁ・・勉強しなきゃ!」

という言葉の後には、机に座っている姿勢です。
こうした子供の成績が、そうでない子供の成績よりも良くなるのは当然の話ですね。

これまで仕事の中で、たくさんの学生と接してきた経験から言えることは、いい大学の学生はやっぱりいいという単純な事実です。
なぜなのか最初はわかりませんでしたが、しばらくして気付きました。
何がいいのかと言えば、この反応速度が違ったんです。
例えば、メールの返信ひとつとっても返信までの時間が全然違います。
情報伝達後の確認メールなんて、送ろうと思えば、すぐに送れるはずですが、なぜか1週間近く返信が遅れる人がいます。
こういう人は、「思う」と「行う」の間のスペースが長い人です。
指示に対する反応も鈍く、組織として行動する際になかなか迅速な行動が取れません。
結果的に多くのチャンスを逃していることに、本人は気付いているのかいないのか・・。
これではいけないと思い、指導をはじめました。
簡単なことを「すぐやる」、そして「確実にやる」習慣の徹底です。
要するに、「しつけ」です。
挨拶、メールの返信、靴をそろえること、椅子を引くこと、ゴミ拾い・・
こうした細かい動作の一つ一つを、気付いたら「すぐに」「確実に」行うようにさせました。
これは私が行ってきた人材育成で最も効果のあったことです。
組織全体の反応速度が非常に速くなり、やりたいと思うことをすぐに行う組織となりました。

これは、個人レベルでも同じ話です。
親が子供に行うべき教育でも同じ話ですね。
「思う」はいけません。
作文や日記にも願望を書く際にも、「思う」や「~したい」という言葉使いをやめさせるべきです。
ためしに子供に、「将来実現すること」というテーマで作文を書かせてみてください。
具体的な行動ではなく、「思います。」や「~したいです。」の羅列になっていたら要注意です。
まずは「しつけ」を徹底し、「思う」と「行う」の間の距離をなるべく短くしてあげること。
願望を夢で終わらせるのではなく、それを実現できる子供に育ててあげること。
これは親が子供にしてあげるべき、最も重要な仕事の一つだと考えています。

日本で二番目にたくさんホームランを打った人は? [教育全般]


突然ですが、質問です。
「リーダーシップ」とは何でしょう?
少し考えてみてください。

答えは後で述べることにして、続いて質問です。
①日本で一番高い山は何でしょう?
②日本で一番大きな湖は?
③日本で一番たくさんホームランを打った人は?
それほど難しい質問ではないと思いますので、答えは省略します。
では、ここでさらに質問。
①から③までのそれぞれの第二位を答えてください。

・・・

答えられた方はさすがです。
物知りですね。
でも、普通は分かりません。
(答え 山:北岳、湖:霞ヶ浦、ホームラン:野村克也さん)
山と湖はいいとして、ホームランの記録は盲点だと思いませんか?
元楽天イーグルスの野村監督と言えば、知らない人は皆無と言っていいほどの有名人です。
それほどの人なのに、ホームラン数歴代2位という大記録を知っている人はあまりいません。
ここで、何が言いたいのかと言えば、1位と2位の間にある認知度における圧倒的な差です。
1番になることにはそのくらい圧倒的なインパクトがあるんですね。
だから、人に強く印象を持ってもらうには、1番になることが大切だということが言えます。

ここからが重要なお話。
1番が強く印象付けられるには違いないのですが、お話はそれほど単純ではないのです。
例えば、世界一高い山はエベレスト。
では、世界一大きな湖は何でしょう?
この質問に答えることと、日本一の湖を答えるのは、どちらが簡単でしょうか?
人にもよるでしょうが、関西圏の人ならまず間違いなく「日本一の湖」の方が簡単に感じるはずです。
いったい何が言いたいのか。
「遠くの親戚より近くの他人」ではありませんが、自分自身にとって身近な1番の方が、強く印象付けられる場合もあるということです。
少し難しく言えば、自分自身の中に客観的な基準と主観的な基準があって、主観的な基準が客観的な基準に優先される場合があるということ。
客観的に一位になるのは、難しいことです。
ところが、主観的な土俵というのは、それぞれの心の中に無限にありますから、その中で一番になるのは上手くやれば誰にでも可能です。
例えば、「今の友達グループの中で一番将棋が強い」のように。
大切なのは、一番であることです。
それが主観的なものであれ、客観的なものであれ、どちらでも構いません。

さて、ここで最初の問いの答えです。
リーダーシップとは何か?
僕はリーダーシップについてセミナーを行うことがあります。
この問いかけに対する受講者の答えはだいたい以下のようなものとなります。
「皆を率いていく力」
「人をまとめる力」
「説得力」
・・・などなど
どの答えも間違ってはいません。
もっともな回答ばかりなのですが、これらの回答はすべて「リーダーとは何か」について語っているものばかりです。
心理学上は、リーダーとリーダーシップは別々のものと考えます。
そこでは、リーダーシップは「集団目的の達成における集団の活動に影響を与える過程」と定義されているのです。
簡単に言ってしまえば、「影響力」のことです。
つまり、影響力=リーダーシップと捉えてほぼ間違いないでしょう。

議論があちらこちらに飛んで申し訳ないのですが、社会で活躍するとはどういうことでしょう?
僕は、組織活動を通じて(あるいは個人で)社会に対してどれだけ大きな影響力を発揮できるかだと考えています。
いい意味でも悪い意味でも大きな影響力を発揮している人を、世間一般は「活躍している人」とみなします。
もちろん、その影響力がいい方向に発揮されるに越したことはありません。
影響力のある人には、報酬で報われるのが今の社会のシステムですね。
すなわち、リーダーシップのある人が成功するようになっているのです。

では、肝心のリーダーシップはどのような場合、最大限に発揮されるのか?
これは難しい問題なのですが、間違いなく効果的なのが「受け手にとって一番の存在であること」なんです。
例えば、上司が部下に対して、
「仕事を一生懸命にやることが、自分自身の成長や幸せにつながる」
と叱咤激励したとします。
全く同じ言葉を、会社の中でNO1である社長が言うのと、昨日係長になったばかりの上司が言うのとでは、部下に対する影響力は全く異なるでしょう。
「お前には言われたくない」と思われていれば、どんな立派な言葉や正論も部下に対する影響力を持ちません。
すなわち、リーダーシップを発揮できないのです。
これでは人を動かせません。
特に理由もないのに、「お前には言われたくない」と思われてしまう原因は単純で、要するに「自分よりも格下の人間に言われたくない」と相手に思われてしまっているからです。
でも、自らがその相手にとって、(主観的・客観的問わず)一番の相手であればそう思われることはありません。
「語るに足る」資格を持っていると思ってもらえれば、相手は話を聞いてくれるでしょう。

中学生や高校生でも大人に対してリーダーシップを発揮できます。
最近twitterで有名になった高校生がいましたが、彼はいい例でしょう。
(参考URL)
http://mainichi.jp/select/opinion/hito/news/20101211ddm008070070000c.html
彼はtwitterに詳しい高校生という土俵で一位となり、大きな影響力を発揮しています。

もちろん、受け手に対しての影響力を左右する条件は他にもあります。
たとえ、「日本一○○ができる」相手でも嫌いな相手の言う事はきかないでしょう。
たとえ、社長の発言でも自分自身の価値観に合わなければ言う事はきかないかもしれません。
たとえ、前の会社でNO1の実績がある人でも、その人を認めていなければ言う事は聞きません。
ただ、そうした個人的な事情をすべて排除したとき、人が誰の言葉を聞くかと言えば、一番の人の言葉を最も良く聞きます。
なぜ、一番の人の言葉を聞くかと言えば、その人の印象が強いからです。
強い印象を持つ人の言葉は、頭に響きやすいわけですね。

まとめます。
「経済的に豊かになること=人生における成功」ではありませんが、お金は幸せの基準を図る尺度の一つには違いありません。
なぜなら、お金がある人ほど人生の選択肢は多いからです。
お金は本人が発揮した何らかの影響に対する対価だと考えることが出来るので、影響力が強い人ほど経済的に成功できる可能性が高くなります。
社会に対して影響力の強い人材になるためには、他人に対しての強い印象が必要です。
強い印象を持ってもらうための最もシンプルかつ強力な手段が、一番であること。
特に1番と2番の間は、数字における差はほんの僅かでも、印象という点で天と地ほどの差があるというのは先に述べた通りです。

「一番になる」
もちろん、これが影響力を高めるための唯一無二の方法ではないです。
けれども、影響力(≒リーダーシップ)を高めようと考えたときにはかなり効率的な手段です。
これを教育に活かさない手はありません。
どういう意味かと言えば、人を育てるときには、相手に「一番になる」ことを強く意識付けさせるようにするべきだということ。
「一番になる」ことは必ずしも難しいことではありません。
一番になる方法は無限にありますし、そのための土俵も無限にあるからです。
ただ、それを見つけるのは容易ではありません。
こういうとき何の分野で一番になれそうか、それを一緒に考えて、継続的にフォローしてくれる人がいると心強いです。
これこそ、親や教師に求められるべき役割でしょう。
教育者の役割とは、徒競走で手をつないで仲良く一緒にゴールさせることなどではないのです。
一番になれた。
そこで得た自信や他人への影響力こそ、その子供にとっての宝物に違いないのですから。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。