過去問題を行なう理由 [受験勉強]



受験シーズンが近づいてきましたね。
今日は受験の必勝法をお伝えします。
これはもしかすると、僕個人のオリジナルな考え方かもしれません。
他の勉強本では全く逆の事を書いていたりするかもしれませんが、この記事を読んでいただければこの方法の方が正しいと納得していただけるはずです。

受験の必勝法とは何か?
これは「過去問」をやることに尽きます。
この重要性は驚くほど正しく認識されていません。
もちろん、「過去問」はやりますよ!という方が大半かと思われます。
でも、その大半の方がやり方を間違えているので、「過去問」があまり意味をなしていないというのが、実情です。正しいやり方でやらなければ、あまり意味はありません。
受験を終えると、よくこんな話が聞こえてきます。
Z高校を受験した二人の会話です。

X君 「A判定で合格間違いなしだったのに落ちてしまったよ・・」
Y君 「E判定しか出たことがなかったのに合格した!」

これはX君の代わりにY君が合格したと言う事が出来ます。
A君の敗因は何だったのでしょうか?
それは「過去問」をしっかりやらなかったことです。
例えば、Z高校の入試問題の数学の「大問3」は伝統的に非常に難しいとします。
それを知らず、その問題にかかりっきりになっている間に、時間が過ぎてしまい、残りの易しい4、5,6が解けなかった・・こういう場合に予想外の不幸は起こります。
Y君はそれを知っているので、X君がつまずいている間に他の問題を効率的に解いたわけです。
今日、一番大切なことを言います。

「過去問題をやる意味は、偏差値通りの実力を本番で発揮することである」

「過去問」を行なう理由はY君に実力以上のものを発揮させることではありません。
X君が普段の実力通りのものを出せるようにするのが、「過去問」を行う理由です。
しかし、実際には本番で実力を発揮出来ないX君のような生徒がたくさんいます。
結果的にE判定のY君にチャンスがめぐってくるわけです。
高校や大学の合格ラインはどのあたりなのか?
模試や当日の倍率によっても異なりますが、C判定くらいがボーダー(合格と不合格の境目)ラインとなります。要するに、C判定くらいの生徒は志望校に合格出来るということです。
入試で必勝を狙うのであれば、模試での志望校判定をCライン以上にもってくることを最初の目標とします。
Cライン以上であれば、後は志望校の過去問題を受験前に正しく行なえば合格です。
単純な話です。
(体調不良や極度のあがり症といった場合は抜きにして・・)

では、その正しい過去問題の解き方とはどういったものなのでしょう?
原則を言います。
受験一ヶ月前まで志望校の赤本の封は切らないでください。
要するに「中を見るな!」ということです。
ただし、完全独学の場合はこの原則が崩れます。
志望校の傾向に合わせて、学習計画を立てる必要があるので、どれだけ遅くても夏休み前には過去の問題のチェックを行ないます。
原則が適用されるのは、塾に通っていたり、親が勉強を手伝うことの出来る子供の場合です。
塾であれば、担当の先生や塾長が志望校を把握しています。
その志望校の対策を兼ねた学習計画を立てているので、大丈夫というわけです。
しかし、その点がどうも不安に感じるような塾の場合は親の介入が必要です。
「受験校にはどんな傾向があって、それに合わせてどんな学習計画を立ててくれているのか?」
この点を本人や学習塾にしっかり確認してください。
受験一ヶ月前になってからでは手遅れです。
学習塾に通わせていなくて、子供の学力に不安がある場合。
おそらくその子が受験することになる学校は基礎固めをしっかりすれば、OKだと思います。
学習塾に通っていないということ自体、普通とは違う特徴を持った学校を受験する可能性は低いと思われます。
学校の難易度が簡単になるほど、(長期的な対策を必要とする)入試問題の特徴はなくなります。
塾に通わせていなくて、高学力の場合。
これは、過去問を早い段階で本人に与えるしかありません。
本人に中身を確認させて、学習計画を立てさせます。
大学受験生であれば、高校3年の4月。
高校受験生であれば、中学3年の7月。
これがその時期です。

さてさて、12月になりましたが、中学受験生以外は、過去問はまだ解いてはいけませんよ。
「もう解いちゃった!」という中学3年生、高校3年生、浪人生の皆さんは、まだ全ての年度分を解いてしまったということはないと思いますので、そこで中断してください。

次回に続きます。

赤本は入試一ヶ月前まで触るな! [受験勉強]



前回に引き続き、過去問の正しい使い方についてお話します。
大切なことは、
「一ヶ月前までは過去問題の中身を見てはいけない!」
という点です。

過去問題はどのように使うべきなのでしょうか?
この答えは決まっています。
「入試を疑似体験すること」です。
もう一つの大切な役割が、「入試傾向を分析する」ことですが、それは予備校や学習塾に通う生徒であれば、学習計画立案者が行なっていることなので、本人が行なう必要はありません。
場合によっては学校の先生や親が行なっています。
完全独学で勉強をしている子供に限り、自分で行なう必要があります。
それはさておき・・
「なぜ一ヶ月前まで過去問題をやってはいけないんですか?不安なので、早く解きたいんですけど・・」
こういう声が聞こえてきそうです。
逆に聞きますが、事前に解いたことのある問題でテストをしたとして、正しい実力が把握できるでしょうか?
出来ませんよね?
この問題知っている!となれば、もちろん解けてしまい、実力+αの点数になります。
ここで昨日の復習をします。
模試の合格判定でボーダーラインは何判定でしたか?
そのボーダーラインを超えている子供であれば、入試問題の過去問を解いたときに、合格最低点を超えていなければおかしいのです。
具体的に例を出して説明しましょう。
普段の模試結果では、「B」か「C」判定のZ高校を志望するK君の場合です。
過去問題を解くと、326点となりました。
しかし、赤本の巻頭の資料から、その年度の合格最低点を見ると、360点となっています。
この生徒の場合、合格点と現状の差分は34点です。
「うわぁ・・これじゃあ不合格だぁ・・」
過去問題はこういう風に使うものではありません。
僕ならこう考えます。
この生徒は普段の模試でC判定以上が出ているので、合格最低点の360点を取る実力は備わっているのです。
合格点までの差分の34点は実力がないのではなくて、その分、効率の悪い解き方をしていた点があったと考えるのです。
あとはその点を徹底的に分析します。
例えば、英作文は苦手なので、その問題を解く時間を捨てて英語長文に充てるといった具合に。
そして、英作文が受験一ヶ月前にも関わらず苦手なのであれば、もうやりません。
この時点で苦手なことが、一ヶ月で出来るようになるはずはないからです。
それよりは長所を伸ばすことを考えます。
受験一ヶ月前にもなると誰でも不安です。
不安を助長するような勉強法ではなくて、安心を強化するような勉強をしなければなりません。
より安定した成績となるように、得点源となっている単元を確実に量稽古します。
あとは、暗記物を中心に宿題を出していきます。
受験当日に向けて、生活リズムをコントロールしていく時期なので、宿題は出しすぎないように注意していきます。
受験科目を最低5年分は過去問で行なうようにします。
そして、それぞれの年度の点数を合格基準点と比較していくのです。
例えるなら、同じ学校の入学試験を5回体験しているようなものです。
前の年度の過去問に取り組むのは、入試の一週間前くらいでしょうか?
すでに対策が充分に行なわれているので、ほぼ全員が合格基準点を越えます。
(模試でC判定以上が出ていなかった生徒は越えるとは限りません)
これは当たり前の話なのです。
模試の判定でボーダー以上が出ているわけですから・・。
ただ、実際にやってみるとわかるのですが、C判定とかB判定の生徒というのは、一回目の過去問題では合格最低点にすら届かないことが頻繁にあります。
A判定の生徒でも珍しいことではありません。
特に、中学受験や高校受験というのは、本人にとって初めての入試である場合が多いので、効率的な点数の取り方というのをよく分かっていないのです。
もしこれが本番の入試だったら・・・。
恐ろしいことです。
模試の判定に安心して、自信満々で入試に行って、玉砕してしまいます。

そうした不確実な要素を取り払うのが、過去問を解く本当の意味です。
一回解いた過去問題は、三回は復習に活用したいところです。
高校受験生であれば、本命校受験前の一ヶ月は
5科目×5年分×三回=75回
一回分に1時間平均とすると、これだけで75時間もかかります。
一日当たり2.5時間、過去問と向き合うわけです。
要するに入試一ヶ月前は過去問ばかりやっているということです。
一日の勉強時間が高校受験生であれば、4時間。
そのうちの半分以上が過去問をやっている時間となります。
個人で行なうなら、土日に第一回目の過去問を入試と同じ時間割で行なうことをおススメします。
滑り止め校の場合なら、
5科目×3年分、×1,2回=15回分
くらいでいいと思います。
本命校でなければ、やりすぎる必要はありません。

さてさて、絶大な効果のある過去問題ですが、一番重要な前提条件をまだお話していません。
それは、「なるべく入試と同じ緊張感で行なうこと!」です。
実は、これが一番難しい点となります。
難しい理由は・・
①時間をしっかりと計測し、その通りに行なわなければならない
②答えを見てはいけない
③採点を正しく行なわなければならない
こんな条件があるからです。
半分の時間で解けたとしても、残り時間を有効活用しなければなりません。
どうしても答えが気になっても決して解答を見てはいけません。
証明問題の部分点なども踏まえた上で、総合の正しい合計点を求めなくてはなりません。

小中学生の場合、これを個人で行なうのは困難を極めます。
ゆえに僕は過去問指導だけは全て塾で行なうようにしていました。
時間計測や採点も全て講師が行います。
塾に行っていない場合・・
親や兄弟が頑張るしか、仕方ないでしょうね。
土曜日や日曜日を使って行ない、時間計測や採点は年長者がします。
最初の一回分だけで良いので、受験校1校なら5年分×5教科です。
それでも、一ヶ月で25時間もの時間が拘束されます。

でも、それだけの価値はあります。
塾に頼めば、何万円とします。
受験を子供と一緒に頑張るなら、こんなにいい応援はないと思っています。

受験直前の頭のリバランス [受験勉強]


最近、niceをたくさんいただきます。
こんな小難しいブログですが、読んでいただいて本当にありがとうございます。

今日の内容は少し難しいです。
でも、受験生は絶対に読んでください。
人によっては、すご~く効果のあることだからです。

実際に赤本に手を出す前にやるべきことはあります。
実戦形式の総合問題です。
言いかえると、「模試や入試問題みたいなもの」です。
どれだけやる必要があるのかは個人差があります。
「なるほど、なるほど・・・」と書店に行くと、あることに気付くと思います。
こうした問題集はあまり売っていないのです。
本当に売っていません。
ほとんどの問題集は単元毎の構成になっています。
そして、テキストの最後の方に少しだけ「総合問題」がある程度です。
その「総合問題」だけを集めたテキストを作って欲しいのですが、大学受験はともかく、中学受験や高校受験の良質の総合問題集となると、さっぱり見当たりません。
余談ですが、そういう問題集にはニーズがあるので、出版社が中学受験や高校受験でいいものを作れば売れると思います。
模試会社が過去に行なった模試を編集すれば、簡単だと思うのですが・・。
なぜこうしたテキストがないのかには理由があります。
単元毎に学習を進めた方が、圧倒的に成果が出るからです。
考えてみれば当たり前の話です。
単元がまとまっていなければ、勉強しにくくて仕方ありません。
それはその通りなのですが、でも、「総合問題」をやった方がいい子供が多数いるのです。

「???」

これだけの説明では、頭の中はこのような状態かと思われます。
順を追って説明させていただきます。

「テストの見直しをしなさい」

学校や塾の先生が口を酸っぱくして言う言葉です。
でも、低学力になるほどやってくれません。
中学生なら、平均くらい成績の生徒でも適当にしてしまいます。
本当は最低でも三回は見直しをやって欲しいのです。
これをきちんとやってもらえるのであれば、入試前の大切な時期に「総合問題」ばかりやる必要はほとんどありません。
いきなり過去問題に入れば良いのです。
勉強が苦手な子供がいるとしましょう。
でも、どういうわけかテストの見直しだけは三回きっちりやっていたとします。
この子供は受験本番では実力以上の学校に合格します。
なぜなのでしょうか?

僕はこの話をするときには、必ずたとえ話をします。
勉強とは頭という白紙の辞書に知識を書き込んでいる行為です。
辞書に知識を書き込む段階では、単元毎の学習をします。
その方が、効率が良いからです。
そして、テスト本番。
頭の中の辞書に書いてある情報を使って、問題を解きます。
テストの見直しをしない生徒は、ここで大変なことが起きます。

「頭の中にある辞書の使い方がわからない」のです。

頭の中にある辞書にその問題を解くための答えはあるのです。
しかし、どの辞書のどのページに答えが書いてあるのかがわかりません。
結局、解答用紙を埋めることは出来ません・・。

こういうことが起こっています。
これは中学生で特別優秀な子供でもなければ、ほとんどの生徒に見られる傾向です。
実際の知識レベルとテストの点数が乖離してしまうのです。
これを修正するだけで、爆発的に点数が伸びる生徒もいます。
定期テストではあまり意味がありません。
学校の実力テストや塾の模擬試験を三回見直ししたか、もう一度聞いてみてください。
きっとそこまではやっていないはずです。
ということは、伸びる余地があるということです。
そのために総合問題を集めたテキストをやるんですね。
もちろん見直し重視の勉強で・・。

単元毎の学習には時間がかかります。
しかし、テストの見直しのような、「頭の中にある情報の使い方」のための勉強にはあまり時間がかかりません。
全体の学習時間の比率で言えば、
単元毎の学習時間95%、情報の使い方(総合問題)5%くらいのものでしょう。
言い換えると、
普段の勉強95%に、テストとテストの見直しに5%です。
テスト等に使う時間は、実際はもっと少ないかもしれません。
しかし、このほんのわずかな習慣を省けば、全体の点数は何十%も下がります。

僕が言いたいのはこういうことです。
正確な数字は分かりませんが、最小の勉強時間で最大の学習効果を出すための、最も適切な
「単元学習:総合学習」の勉強時間割合は存在します。
「テストの見直しを三回しましょう」
よく言われる言葉ですが、それをすると最適の割合になるのかもしれません。
学校や塾の先生の経験則から導き出されたと言われると、納得できそうな話です。
テスト毎にしっかり行なえば、「単元学習:総合学習=9.5:0.5」くらいになりそうな気がします。
特に高校受験生は、この「総合問題」に充てるべき時間が取れていません。
何度も繰返しますが、これはほとんどの生徒に見られる傾向です。
本来あるべき割合に戻すために、赤本に取り組む前に「総合問題」を解くのです。
※適切な割合に戻す作業を「リバランス」と言います。

入試の微調整ですが、これをやると驚くほど効果が出ます。
普段、テストの見直しをしない子供ほど効果が高いです。
ぜひ試してみてください。

※一番いいのは毎回のテストの度にしっかり見直しをすることですが・・。

若いって素晴らしいの? [雑談]



今日の職場で、こんな場面が繰り広げられていました。
女性社員同士の会話です。

(Bさん) 「Aさんて、25歳だったよね~」
(Aさん) 「ちょっと待ってくださいよ。ひどい!まだ23歳ですよ。」
(Cさん) 「ひどいって・・。私は28歳だよ。」
(Aさん) 「え~!? ごめんなさい。」

とまぁ・・こんな感じの会話です。
僕はこの会話の中にある種の嫌悪感を覚えます。
冗談を言い合いながら会話を楽しんでいるのは分かります。
けれども、これは冗談ではなくて、彼女達の本音ではないでしょうか?
若いことがいいことだという暗黙の了解がこの会話の中にはあります。
30代になれば、「三十路」。
あるいは「アラサー世代」、「アラフォー世代」。
こうした言葉にネガティブな響きを感じるのは僕だけではないはずです。
人は一人の例外もなく、年齢を重ねます。
誰でも30歳、40歳になるのです。
若さはいつか失われます。
それが唯一の価値観の拠り所だとすれば、そんな若者はみっともないですが、それを羨ましく思うような大人もみっともないと思っています。
女性の場合、外見的な魅力に限定しても、30歳~40歳くらいまでは毎年綺麗になり続けることが出来るはずです。若さだけの美しさとは違った魅力が備わるからです。
努力して磨かれる美しさは、素材の良さとはまた違います。
男性にしても、50代くらいまでは外見的にも、充分魅力的でいられるはずです。

幸せとは相対的な問題です。
「他の人よりも幸せな毎日」
「昨日の自分よりも、素敵になる人生」
これが最も幸せな人生です。
いつも100点を取っている子供は80点だと悔しいですが、いつも50点の生徒が80点を取れば大喜びです。しかし、他の全員が100点であれば、喜びも冷めてしまいます。
幸せになるコツは二つあります。
一つはどうにもならないことを人と比べないことです。
他の人と比較しなければいいのです。他人は他人で関係ありません。
さらに言えば、「どうにもならないことは自分よりも恵まれない人と比べて、努力でどうにかなることは自分よりも優秀な人と比べるべき」です。
不幸になる人は逆なのです。
どうにもならないことばかり人と比べて、努力しないといけないことは下を見て安心しています。
これではいけません。
もう一つのコツは少し難しいです。
「人生のピークを先に用意する」ことです。
若いだけが価値観の拠り所だったとしましょう。
20歳くらいにピークを迎えた後は、下り続ける人生です。
ずいぶん寂しい生き方ではありませんか。
欧州は若者と年配者の立場が日本とは少し異なります。
失礼ですが、不潔と思ってしまうくらい、服装や身だしなみに無頓着な若者が多いです。
ところが、年配者になると、日本とは逆で非常に魅力的な方が多くなります。
国によって異なったりもするのでしょうが、僕はほとんどの欧米諸国でこの印象を受けました。
この点は彼らを見習うべきだと考えています。
ハリウッドスターでも、本物と呼ばれるような人は皆ある程度の年齢を重ねています。
若者にお金は必要ありません。
泥だらけになって働いて、勉強して、汗臭ければいいのです。
それでも彼らには若さという魅力があるのですから、それで充分幸せです。

本来、年配者になる程、うらやまれる社会を目指さなければなりません。
「今は42歳。人生で一番楽しいです。20歳に戻れるなら?まっぴらごめんですよ。あんなに大変な思いは二度としたくありません。」
こういう風に言える大人が増えてこそ、健全な社会だと言えるのです。
なぜ、こんな逆転現象が起こってしまったのかと言えば、メディアに責任があります。
若いタレントやミュージシャン、アイドルを使いすぎました。
そして、それらの多くは使い捨てのような扱いで消えていきます。

こんなんでいいのか?
冒頭のような会話を聞く度にいつも悲しくなっています・・・。


ブログについて [雑談]


突然ですが・・

ブログですが、少し文体を変更してみようと思います。
ですます調だと論文みたいになってしまって少し読みにくいかなと・・。
教育のノウハウを発信するためのブログですが、僕自身の文章を書くトレーニングも兼ねているんですよね。
ほんの数人を除いて、僕がブログをしていることは周囲の人間は知りません。
もともと知り合いでもなかったにも関わらず、いつも読んでくださる読者の方には感謝です。
写真や図も使わないブログなので、読みにくかったと思います。
本なら腰を落ち着けて読むのでいいのでしょうが、ブログはもう少し軽いほうがいいのかなと考えるようになりました。
訪問して下さった方々のブログも拝見させていただいておりますが、どうも知的レベルの高い方が集まっておられるようで、それはそれで嬉しいのですが、これも僕自身のブログの読みにくさが一つの理由かなと反省している次第でございます。
まぁしばらくは、内容は変えずに表現を変えて、色々と試してみるつもりです。

ではまた次回より。


捨てる勇気 [受験勉強]



受験一ヶ月前ともなれば戦争です。
この時期、最も重要なことは何でしょう?
言うまでもなく、過去問ですね。
ところがこの過去問。
使い方を誤ると、あまり意味がなくなってしまうことはあまり知られていません。
最も重要なポイントについては何日か前のブログで話をさせていただきました。
今日はもう一つの重要な点についてお話させていただきたいと思います。
これをあやまってしまうと、過去問を解く効果が半減してしまうので気をつけてください。
それほど重要なポイントとは・・・?
ズバリ、「捨てる勇気」です。
受験に最も成功しないタイプの子供をご存知でしょうか?
これはあるカリスマ予備校講師が何年もの間、受験生を見て気付いたことらしいです。
それは・・・

「旅行で荷物が多いタイプの人間」

もう一度言います。

「旅行で荷物が多いタイプの人間は合格しにくい」

この例えは受験直前に必要な心構えを最も端的に表していると言えます。
しかも、分りやすいです。
受験一ヶ月前まではそんなにこの言葉を意識する必要はありません。
しかし、受験一ヶ月前ともなれば、自分の荷物を徹底的に減らす作業も求められます。
これを、もっと平たく言うなら、「自分を信じよ」ということです。
この言葉は全ての場面や全ての科目に当てはまるわけではありません。
「捨てる勇気」を持て!
まじめに受験で勝とうとしている人間が、この言葉を念頭に置いて行動すれば、必然的に一ヶ月前の過ごし方は決まってきます。
社会や理科など暗記系の科目に集中するようになります。
それを考えない受験生はいつまでも苦手科目を克服しようとします。
これまで3年間、やってきて苦手だったことが残り一ヶ月で得意になる保証はありません。
出来ないことを無理に続ければ自信もなくなります。
これではいけません。
入試直前一ヶ月こそ受験日当日に向けて、自信を高めるための時期だからです。


集中力をつける方法 [モチベーション]


「うちの子供には集中力がなくて・・・」

よく聞く悩みです。
子供の学習について悩む多くの保護者に共通する悩みと言えるでしょう。
今日は集中力を高めるための極めて簡単な方法をご紹介させていただきます。
集中力を高めるためのキーワードは3つあります。
それは、

・「体力」
・「興味」
・「時間」

この3つです。
ここから考えていくようにします。
まず、どうにもならない問題。
「体力」が足りていない場合です。
自分の時間(テレビやゲームなど)を楽しんでいる様子が全くない場合は、これに該当するかもしれません。
やらなくてはならないことに精一杯で自分のことを考える余裕が全くない状況です。
小中高の1年生の初期は仕方のないことかもしれません。
体が慣れるまで優しく見守ってあげるようにします。
学校生活に、体力がいつまでも慣れない生徒もいます。
超体育会系の部活動に所属している子供です。
そんなウルトラハードな部活に所属してしまった場合は・・
部活動に任せてある程度はほうっておいて構いません。
それほどハードな練習を続けられるということは、充実しているということですよね?
部活中は集中していることと思います。
集中力は鍛えられているので、そちらにお任せしてしまいます。
こうした子供は瞬発力があるので、テスト前と受験前の1年で勝負をかけます。
体力と集中力には相関関係があるので、本人にとってはいい訓練となっているはずです。
必要最低限の学習は必要ですが、これは別の話なので、過去の記事を参考にしてください。
しかし、僕の見るところここまで厳しい環境を強いる部活動は稀です。
具体的に言えば、都道府県の大会でベスト3に入るくらいのレベルでなければ(マイナーなものは除く)、ここまでの練習は課していないと思います。
「疲れた」、「疲れた」と言いながらも、多くの子供は余力を残しています。
親から見てムダな時間が多いと感じるのであれば、体力的には問題ないといえるでしょう。
冒頭の言葉を言う保護者の方も大半はここに属しておられます。
よって、ほとんどの場合、集中力のない原因は別のところにあると考えられます。
僕の経験上、集中力がない子供のダントツのトップ理由は、

「勉強がわからない」

でした。
人間、わからないことには興味を持てません。
興味の持てないことに取り組んでいるから、いつまでも集中力がつかないのです。
そこで、集中力を高めるための学習法を公開させていただきます。
コツは二つです。

「勉強ではなく作業を」
「時間を計測する」

集中力をつけるには、考えなくていいような勉強からはじめると良いです。
頭ではなく、体を使って行なうイメージの勉強だから作業としました。
難しいことを考えなくて済む勉強を優先するのです。
具体的には漢字や英語の書き取り、英文や国語の教科書の音読、計算などですね。
仕事でもそうだが、簡単な作業には飽きがきます。
そこで二つ目のポイントです。
それらの全てを時間計測しながら行なうのです。
1桁同士の足し算などは、単純極まりないので、そのままでは面白くないが、「100マス計算」のようにゲーム性を持たせて時間を計測すると急に面白くなります。
解けるか解けないか?ではなくて、何分で解けたか?という点に関心のポイントをずらすのです。
何時までにここまでをやると決めて取り組ませるのがいいと思います。
チャレンジ意欲を刺激すると、大きな目標を立てがちだが、それはいけません。
簡単な目標から少しずつ達成させていくようにします。
最長でも1時間半後くらいに終えられる作業がいいでしょう。
(単純作業に休憩をはさまず、1時間半以上続けるのは難しいため)
そうした点がこの勉強法のポイントです。

「体力」→「興味」→「時間」。
子供の集中力に不安を感じたら、まずはここから疑うようにしてみてください。


勉強を無意味と感じる子供、そして大人 [教育全般]


こんにちは。
文体を変えてみましたが、違和感があったので元に戻しました。
今まで通りでいくことにします。
実は、僕はゴーストライターとしてWEBマガジンを刊行しています。
残念ながら、そのWEBマガジンを人に教えることは出来ないのですが、そちらの記事は全て「である」調で書いているんです。
そちらの人気があるのは、きっと認知度や信頼度の差なのでしょう。
いい勉強になりました。
以上、余談です。

Benesseの教育研究開発センターの行なった興味深い調査結果を目にしました。
中学生と高校生を対象にしたアンケート結果です。
その質問と回答結果ですが・・・

(質問1) どうしてこんなことを勉強しなければいけないのかと思う
中学生 56.1%  高校生 57.6%

このような結果になったとのことです。
成績による区分は行なわれていないので、そこから想像すれば、成績の悪い子供達に関してはこの数字以上に深刻な結果になることが予想されます。
おそらく大半の成績不振の子供が勉強することに、意味を感じていないと思います。
高校生になると、数字がわずかながらも上昇するのは、どういうことでしょう?
個人的に興味があるのは、同じアンケートを大人対象に行なうとどうなるのか?という点です。
質問内容を「中学、高校の勉強はあまり役に立たないと思う」に変えて・・。
残念ながら、どんな結果になるのか全く予想出来ません。
その一方でこんな調査結果もあります。

(質問2) わからないことがあると、もっと知りたいと思う
中学生 61.4%  高校生 64.1%

多くの子供は知りたいという気持ちは持っているんですね。
高校生になると数値が上昇しています。
これは、(質問1)の結果に対して明らかに矛盾しています。
勉強に対して失望する子供が増えているのであれば、「もっと知りたい」という気持ちは下がるはずだからです。
これに対して考えられる答えは一つです。
「勉強に意味は感じないものの、とりあえずやらなきゃと思う学生は増えている」
ということです。
大人になるというと言葉の聞こえはいいのですが、嫌々ながらも必要性があるので、仕方なく学ぶという学習態度になります。
これは悲しいことですね。
(質問1)の回答結果は高校生になると格段に下がって欲しいところです。
ましてや大人になっても「はい」と答える人の割合が下がらないようであれば、日本の教育は大きな問題を抱えていると思わざるを得ません。

僕の個人的な意見として・・
色々問題はあるにせよ、学校の勉強に意味がないとは考えていません。
むしろ非常に意味はあると考えています。
国語は理解力、数学は論理的思考能力、英語はコミュニケーション能力、社会は知識と教養によるコミュニケーション能力の強化、理科では論理的思考能力の実践の場として「仮説検証能力」を高めることが出来ます。
学習指導要項に改善の余地がまだまだたくさんあるのは事実だと思います。
けれど、そういう理由で勉強が無意味だということにはならないでしょう。
現状のカリキュラムがこうなっている以上、それをいかに有効活用するか考えるしかありません。
今、まさに「勉強する理由」が問われていると思うのです。
「仕方ないから勉強する」
こういう高校生が一人大人になるたびに、(質問1)に「はい」と答える子供が増えます。
5教科の学習にはどういう効用があるのかを教えてあげないと、子供達がかわいそうです。
「だから勉強しなくてもいい」と言い切れる親の下にいるのであればまだ幸せですが・・。
多くの子供たちは無意味と感じていることに人生の大半の時間を使っているのですから。
でも、むやみやたらと小学生や中学生に「勉強する理由」を語るのはあまり意味がないと僕は考えています。
難しくてよく分からないからです。
大人だって分かっていない人が多いのですから、当たり前の話です。
態度で示すしかありません。
大人が勉強の重要性を心から信じることです。
「勉強する理由」は言葉で伝えるものではなくて、それとなく感じてもらう類のものと考えています。
大人がそこに疑問を感じていては、子供はとてもそうは思えません。

文部科学省には、「勉強が無意味」と感じる子供の割合を減らすための工夫として、大人に向けた教育情報発信の機会を増やすことを期待しています。


過去の記事 [復習]


今日は過去の記事で最も反応が高かった記事の復習です。
「傾聴のスキル」についてです。
コミュニケーションに悩むお父様、お母様。
初めて読まれる方は必見です。

子供の理解を得られる究極のコミュニケーション法についてお話します。
現時点で考えられる最高のコミュニケーションスキルです。
スキルなので、技術です。
技術は愛情という土台がなければ、真の効果を発揮出来ませんが、
このようなブログを読んでいただくくらいなので、それは大丈夫だと思います。
僕はこの技術を身につけて人生が変わったと言っても過言ではありません。
対人関係において絶大な効力を発揮します。

分かりやすいように、ケーススタディで説明したいと思います。
今回のケースは大げさに思われるかもしれませんが、実際に良くあるお話です。

★中学3年生の夏、突然子供がこのように言い出したらどうしますか?

「僕は高校に進学しないで働くことにした」
(あなたはもちろん子供には高校に進学してもらいたいと考えています)

これに対しての回答を列挙してみましょう

Aさん 「何を言っているんだ!」(怒り出す)
Bさん 「その理由を話してごらん?」(質問する)
Cさん 「それはいい考えだ!」(同意する)
Dさん 「学校の勉強は無駄だと考えたんだね、でもそれは・・」(解釈する)

さて、正解はどの親の返事でしょうか?

心の中で正解を考えてみてください。
では正解を見ていきましょう。
まずはAさん・・これは問題外ですね。
子供は自分なりに悩んだ結果、親であるあなたに大切な相談をしているのです。
たとえそれが間違った答えであれ、否定してはいけません。
子供はあなたへ相談をする気を失くすでしょう。
確実に親と子の距離が開くと考えてください。最もダメな反応です。
「いや、そんな反応をするはずがない!」
結構皆さんそのようにおっしゃられますが、本当にそうでしょうか?
子供の成績が返却されたときなど感情的に怒っていませんか?
「叱るときは理性的に、ほめるときは感情的に」
これは教育の基本です。怒りたいときほどぐっとこらえてください。
次はBさんの反応ですが、一見いい解答のように思えますよね?
でも×です。今の子供の考えでは高校に行かないことが正解なのです。
その理由を話したところで、それを正当化するための言葉しか出てきません。
そしてその言葉によって、さらに自分自身の想いを強めてしまう結果になるでしょう。
なぜそう思ったのかは後で聞けば良いのです。
次にCさん。これも不正解の反応です。子供の意見に安易に迎合するのは良くありません。
理由も話していないのに、そんなことを言われるとかえってあなたへの信頼を失う要因になります。今後、大切な人生の相談をしようとは思わないでしょう。
最後はDさん。これが正解?
実はこれも×です。残念ながらここに正解はないのです。
Dさんのケースは子供に対しての愛情が深く、頭のいい大人が選びがちな反応です。
でもそれは・・の後にどんな言葉が続くのかといえば、高校に行かないデメリットについての客観的な意見か、自分自身の自叙伝に沿った苦労話です。
例えば、こんな具合に・・
「お父さんも中学校3年生のときに同じことを思ったよ。一時は学校の勉強もすべて止めてしまってねぇ・・でも中学3年生の夏に気付いたんだ。とりあえず行ってみるだけでも悪くないんじゃないかって。入ってから辞めることも出来るわけだし・・・(延々と続く)」
残念ながら、子供はこのような話を求めていません。
いえ、正確には今の段階では求めていないのです。
そういった経験談をお子様に話して聞かせてあげることは非常に重要ですが、子供が何かの相談をしているときにするべきお話ではないのです。

すべて不正解・・。
では、どのように答えてあげるのが、ベストなのでしょうか?

私ならほぼ100%の確率でお互いに望む結論を出せると思います。
別に偉そうにするつもりはありません。
そういう技術を学んで実践してきたからです。
誰にでも出来ることだと思っています。

さて、先の質問に対しての回答をしたいと思います。
あえて最善の答えを述べるなら、
「あと半年で学校生活を終えて、社会に出る・・相当思い悩んでいるのかい?」
となります。
これって、Bの答えに似ていますよね?
「その理由を話してごらん?」と一体何が違うのでしょうか?
実は、どこに話の焦点を当てているのかが違います。
Bの回答はあくまでも「なぜ高校に進学をしないのか?」についての質問です。
しかし、先の回答はそうではありません。
子供の感情面に対しての質問になっているのが重要なポイントなのです。
高校に行きたいかどうかではなく、子供が今、何を感じているのかを理解しようとするための質問なのですね。

それでは、なぜこのような返答が最適なのかを見ていきます。
人間関係の原則として、
「自分を理解していない人間を理解しようとはしない」
と言えます。
これは親子のような間柄においても例外ではありません。
いえ、むしろ親子だからこそ、より顕著にこの傾向が現れると言えます。
子供が突拍子もないことを言い出すのには理由があります。
まずあなたに求められるべきことは彼や彼女の立場に、自分自身を置き換えて徹底的に理解するように努めることです。特に理解すべきは相手の論理ではなくて、感情です。
このようなことを突然言い出した場合、子供の感情は何かしら波立っています。
感情的になっている相手に、論理でいくら対抗しても火に油を注ぐようなものです。
子供からは自分の考えを正当化するための言葉しか引き出せません。
まずは感情的になっている相手を冷静にしなければなりません。
そこから論理的な話が始まるのです。
しかし、相手の感情を落ち着かせるのは簡単ではありません。
相手の感情を理解するための、話の聞き方として傾聴のスキルを説明します。
あくまでもスキルなので、これが全てだと思わないでください。
傾聴のスキルには4段階あります。
まずレベル1。これが最も簡単です。
それは「相手の言うことを繰り返す」です。
「高校に行きたくないと思っているんだね」
これでOK。
こうした話の聞き方が出来ていなかった方は、このように聞いてあげるだけでもお子様の反応は劇的に改善します。少し子供の心の中をのぞいてみましょう。

子供 「僕は高校に進学しないで働くことにした」
(またどうせ何か文句言われるんだろうな・・。でも絶対高校なんて行くものか!)
母  「高校に行きたくないと思っているんだね」
(えっ!?何で何も言わないの?)
子供 「そうなんだ・・勉強なんて意味がないって思ってさ」
(しっかりやった方がいいかもしれないけど、僕には僕なりの生き方がある!)
母  「勉強には意味がない・・」
(え、えっ!?それを認めてくれるの?じゃ、僕の本音を話してみようかな?)
子供 「実はさぁ・・昨日実力テストが返却されたんだけど、・・」

実際、ここまで簡単にいくかはわかりませんが、まぁこんなものです。
暖簾に腕押しのようなもので、イライラの矛先を見失ってしまうんですね。
これが傾聴の威力です。
相手が感情的な問いかけをしてきたときはまずそれを落ち着かせなければなりません。
そのためには相手の話を徹底的に聞く姿勢が求められるのです。

それでは次に傾聴のスキル、レベル2を説明します。
次の段階は「相手の言葉を自分の言葉に置き換える」です。
これだけでかなり聞き方が洗練されます。
上の例で示せば、こんな具合です。
「中学校で学生は止めて、もう社会に出たいんだね?」
「勉強は将来の役には立たない・・・」
このように相手の言葉を自分の言葉に置き換えて発信するのです。
彼の言葉を感情的に理解している上に、新しい気付きを与えることが出来ます。
オウム返しのように反応するよりも真摯な姿勢も伝わりやすいです。

レベル3になると、少し難しくなります。
この段階では、「相手の言葉の感情を反映」するのです。
つまり、
「相当思い悩んでいるんだね」
「珍しく落ち着きをなくしているみたいだね」
相手の言葉から心情を察して、その心情を反映します。
これは傾聴のスキルでも高等技術です。
なぜならあなた自身が子供の発言の中に含まれている感情的な側面を理解しなければならないからです。
もちろんこの発言に対して、あなたが感情的にならない冷静さも求められます。
あなたが感情的に心情を反映する言葉を投げかけるとしたらどうでしょうか?
「何をイライラしてるのっ!!?」
・・・最悪です。
あくまでもあなた自身が子供の発言に対して冷静でなければこのスキルは使えません。

そして最終段階。傾聴のレベル4です。
これは、「内容を自分の言葉で言い換えて、感情も反映する」です。
そうするとこれが正解に近い答えになるわけです。

「あと半年で学校生活を終えて、社会に出る・・相当思い悩んでいるのかい?」

次は、実際に傾聴のスキルを使って、子供の悩み相談に取り組んでみたいと思います。
親と子供の心の動きに注目してください。

■あなたには中学3年生のお子様がいます。夏休み前に突然高校進学しないと言い出しました。

☆子供
「僕は高校に進学しないで働くことにした」
(またどうせ何か文句言われるんだろうな・・。でも絶対高校なんて行くものか!)
★親 
「あと半年で学校生活を終えて、社会に出る・・相当思い悩んでいるのかい?」
(これは学校で何かあったな。相当イライラしているぞ。まずは話を聞こう)
☆子供
「勉強なんて意味がないと思うんだ」
(そっか、あと半年もすれば働かないといけないのか・・それは嫌かも)
★親 
「勉強には意味がない・・何かつらいのかい?」
(そう言えば、模試結果が返却される頃だな。それが悪かったのかもしれないな)
☆子供 
「実は、今日一ヶ月前の模試結果が返ってきてさ。僕に行ける高校はないって
塾の先生が言うんだ。もし行きたいんだったら、夏休みは毎日6時間は勉強しろって。今まで勉強したこともないのにそんなに出来る気がしないよ。」
(今日は本音で話しても大丈夫そうだな)
★親
「そんなに勉強出来る気がしないってわけだ」
(なるほど悩みは分かったぞ。高校に行きたくないわけではなさそうだ)
★親
「でも、実際はそこまで勉強しなくても入れる高校もあるんじゃないかな?」
☆子供 
「僕が行きたいのはそんなに簡単な高校じゃないんだ!バカな生徒と一緒に勉強
するくらいなら働いた方がましだよ!」
(お父さんは何としても高校に行かせるつもりだな!)
★親
「高い目標を持っているからこそ、今の成績が不安だったんだね」
(いけない、いけない。感情的になってきた。もう一度よく話を聞こう)
☆子供
「そうなんだ・・。僕の行きたい高校に行くためにはあと100点必要なんだって」
★親
 「今回は何点取れたの?」
☆子供
「五教科で300点。全然ダメだったよ」
★親 
「なんだ全然悪い成績じゃないじゃないか!」
(確かに前回よりも大幅に下がったな。でも思ったよりひどくもない)
☆子供
「悪いよ!だって山田君は420点も取ったんだよ!」
★親 
「お前より120点も良かったんだ。それは悔しいね」
(また感情的になってるな。今はまだ話を聞く場面だ)
☆子供
「そうなんだ。前のテスト結果は一緒だったんだよ。勉強だって同じくらいしかしていな
いはずなのに、納得がいかないんだ。僕は頭が悪いのかなぁ・・」
(そうか・・僕は山田君に負けたことが悔しかったのかもしれない)
★親 
「テストが取れなかったから頭が悪い。だから落ち込んでしまった。高校に行きたくない
 というよりは、高校に行ける自信を失くしてしまったのかな?」
(何に悩んでいるのかが見えてきたぞ。要するに次のテストで山田君に負けないくらいの点数を取りたいが、そのための勉強に自信がないんだな・・)
☆子供
「そうかもしれない・・。頑張ってやっても点数が上がる保証もないし」

・・・・・

きりがないのでここまでにします。
どうでしょうか?
ポイントを整理して説明しますね。
キーワードは子供の「感情」です。相手が感情的に発言をしているときに論理的な説明をしても相手は決してこちらの言葉を受け止めることは出来ません。

例えば、「悪いよ!だって山田君は420点も取ったんだよ!」という場面。
論理的な返答例とその返答に対する子供の心の中を見てみましょう。

親「山田君はきっと見えないところで努力をしていたんじゃないかな?」
子供(それは僕が努力をしていないってこと?こんなに頑張っているのに)
親「成績には波があるから、今回はたまたま山田君の成績が良かったんじゃないかな?」
子供(僕は、山田君は本当に頑張っていたから点数が取れたんだと思う)
親「受験まで時間はある。120点の差なんてすぐに埋まるよ」
子供(お父さんは勉強がどれだけ大変か分かっているのかな?)

要するに何を言っても無駄なのです。
この段階では話を聞くこと以外に正解はありません。
まずは傾聴のスキルを使って、子供を落ち着かせなければなりません。
徹底的に話を聞くと、子供の感情に変化が訪れます。
今度は、親の論理的なアドバイスを聞きたくなるのです。
どうすれば夏休みに成績を上げることが出来るのか?
他にはどんな進学先があるのか?
お父さんやお母さんは受験のときにどんな苦労をしたのか?
そうしたお話に耳を傾けてくれるのです。
そのお話をしている段階で感情的な反応が返ってきたら、もちろん傾聴に戻らなければなりません。
相手の様子を見ながらこちらの対応を変えるのです。

以前、僕は書きました。
どんな育て方をしても愛情があれば、長期的にあなたと子供の関係は必ず改善されると。
しかし、愛情だけで子供が自立できる保証はありません。
そこにはやはり「育て方」のテクニックがあるのです。
この例で論理的な反応ばかりをこの親が示したと仮定します。
そのとき、子供には高校進学するだけの学力があり、本人も心の底ではそれを望んでいるにも関わらず、高校に行かないという選択を子供がしてしまう可能性が生まれます。
自分の立場を正当化するために、あえて間違った選択肢を選んでしまうんですね。
特に強い自分の意志を持っていて、将来が楽しみな子供にこの傾向が強いです。
これが教育の恐ろしさなんです。
高校進学がすべてではないですし、それ以外の選択肢でももちろん良いのですが、今回の子供の例で言えば、彼が高校進学しないのは正しい選択とは思えません。なぜなら彼自身の本音は高校に行きたいからです。
それを察して上手く導いてあげるのが親の大切な役割でしょう。


ほめればほめるほど良い [モチベーション]


子供のモチベーションを上げるためには、ほめて伸ばすことが不可欠です。
これに異論を唱える方は少ないと思いますが、もしそれは間違いだとおっしゃられる親や教育者がいれば、
その時点で子供を教育する資格はないと言わざるを得ません。
なぜなら、他人が人に継続してやる気を与える唯一の方法が「ほめる」ことだからです。
「叱る」ことでやる気になることもあります。
しかし、叱るばかりでは「やる気」は継続しません。
逆に「ほめる」ばかりなら、やる気は持続します。
「ほめる」は与えれば与えるほどいいのです。
この当たりで反論も出てくるでしょう。
その理由からお話を進めていきたいと思います。

プライドの高い男性にありがちなのですが、よくこういうことを言う人がいます。
「俺がほめるときはよっぽどの場合だけだ」
これは親や教育者としてはあってはならない態度です。
小さな変化に気付けるようにしなければなりません。
子供にそのように言って、「ほめる」ための伏線を張っているのであればOKですが、親や教育者は常日頃から
ほめる要素を探し続けなければなりません。
「ほめる」が多い親ほどいい親です。
それなのになぜこういうことを言うと、反論する方がいるのでしょうか?
理由はたった一つです。

多くの人が、「ほめる」と「お世辞」を混同しているからです。

誰だって「お世辞」は嫌いです。
見え透いた社交辞令のような褒め言葉なら、誰も聞きたくありません。
「ほめる」とは相手を心から賞賛し認めることです。
「お世辞」は社交辞令や自分の都合の良いように相手を動かそうとする言葉です。
ほめてほめて勉強をやる気にさせるのは実は難しいです。
ほめる習慣のなかった人が、ほめはじめるのと比較的簡単に効果が出ますが、次第に子供はその状態に慣れてくるようになります。
「その手には乗らないよ」ってなもんです。

ほめることに耐性が出来てくると、同じ言葉でも動かなくなってしまいます。
結局、ほめても無駄だ・・となってしまうのです。
「お世辞」のように言葉が形式化してしまうのですね。

では、どのようにほめるのがいいのでしょうか?
次回、お話させていただきたいと思います。



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