論理的思考能力② [論理的思考能力]

5月30日

こんにちは。
引き続き、論理的思考能力のお話です。
論理的思考能力が非常に重要というお話でしたが、この論理的思考能力という力は要領が良くなるという利点に留まりません。
その力を使うことで、説得力が身につきます。
論理的に物事を説明されると、人は理解しやすいんですね。
日本語というのはもともと論理的な言語ではなかったのです。しかし、明治の近代化にともなって西洋から論理という概念が入ってきました。
日本というのは元来、抽象性を好み、「以心伝心」のように言葉から伝わる以外のコミュニケーションを大切にしてきた文化があるんですね。
現代においても、KY(空気が読めない)が流行語になるなど、そうした言葉以外で感じ取る力のようなものを非常に重要視する国民性なんです。
KYなんてことを言い出したら、外国人なんて皆KYですよ。
彼らは自己主張することを悪いことだとは考えません。自分の意見に自信があるのであればどんどん主張し、その論理に正当性があれば認められるという文化なのです。
ですので、日本人は基本的に物事を論理的に考えるのが苦手でした。
もともと論理(ロジック)という概念がなかったのですから、当たり前ですよね。
それに比較すると、英語というのは非常に論理的な言語です。
論理展開が上手なので、外国の論文はとても読みやすいです。・・と言いたいところですが、私の英語力は外国の論文を読みやすいと感じるほど高くありません。
主にそう感じる理由は外国の大学や大学院を卒業された方の書いた著作を読むときです。
論理的に文章を書くことが求められたのだと思いますが、難しい内容のテーマでも非常にわかりやすく説明されていることが多いですね。
その理由は論理展開が上手だからなんです。文章が非常にロジカルなんですね。

少し余談になりますが、僕はこの原因を狩猟型民族と農耕型民族の違いと捉えています。
狩猟型民族にとっては、論理に無駄があってはならないわけです。
「あっちに獲物がいったぞ!」

「あっちってどっち?」
なんてことを話している間に獲物が逃げてしまいますよね。いかに少ない言葉で情報を正確に伝えることが出来るのかが求められるわけです。
それに比較して日本文化は曖昧さを好むんですね。何せはっきり言わないし、責任の所在も不明確。文法上も述語(=結論)が最後に来る文章構造で、非常にまどろっこしい。
そう言ってしまうと、日本語は悪い言語のように思えるのですが、そんなことはありません。あえて曖昧な言葉で表現することによって、人とのコミュニケーションにワンクッションを入れているのです。「和を持って尊しとなす」という聖徳太子の言葉がありますが、
そのように人との関係性を重要視する中で育まれた一つの文化なのです。
それに対して論理的な言葉は、人の感情を理解しないので、衝突が起こりやすいです。
一概にどっちがいいとは言えないのです。

・・少し話が脇道にそれました。
相手の感情面に配慮出来ないという弱点はあるものの、論理の持つ力は偉大です。
なにせ分かりやすいので、人に何かを伝えるのには最適です。
分かりやすいということは、人を動かしやすいということです。
すなわち人の上に立つ人間にとっては必須の能力ということになります。
感情の問題を含む微妙なケースに関しては、論理でずばっと切り捨てるのは良くありませんが、日常の仕事の指示のほとんどはわかりやすく簡潔に述べられた方が良いのです。
それは部下が上司に報告をするときも一緒です。
仕事の報告で「結局何が言いたいの?」と感じることはありませんか?
これは、論理的でない説明をされたときに感じる不満なんですね。

物事を論理的に分析し、問題の本質を探り当てる

その解決策を結論とし、会話の冒頭に話す

これが最も優れた仕事の報告の仕方です。

論理的思考能力の持つ力はこれだけではありません。
重要なことなので、明日もこのお話を続けたいと思います。

※以下は余談になりますので、興味のない方は読み飛ばしてください
ここ数年、ロジカルシンキングという言葉がたくさんのビジネス書に登場しています。
ロジカルシンキングという概念がそれまでの日本社会に存在していなかったのかと言えば、そうではなくて、ただ単に自覚されていなかっただけだと思います。
ましてや数学との関連性に関しては、全く知られていなかったと言っていいでしょう。
日本の高度成長期というのは、固有な歴史風土と勤勉な国民性に支えられた世界史上の奇跡だと思いますが、高度成長期の日本においてはそうした能力を自覚する機会がなったのだと思います。問題意識を持つのは経営幹部の仕事で、部下に求められる力は与えられた業務を正確に遂行していく力だったんですね。
しかし、1990年代以降、海外の大学や大学院で経営を学んでくることが一種のブームになります。費用などの面で留学がしやすくなったということも考えられますが、バブルの崩壊を経て、従来の日本型の経営に行き詰まりを感じ、その答えを海外に求めたビジネスマンが多かったからではないででしょうか?
そこで、海外ではロジカルシンキングというビジネススキルが非常に重要視されているということを知るのですね。今までの日本では馴染みのなかった言葉です。
しかし、これまでも述べてきたようにロジカルシンキングはビジネスの現場で圧倒的な力を発揮します。実際にロジカルシンキングを身につけている人間は仕事の能力が高いというデータの裏づけはなかったものの、問題を自ら発見し解決していく力は重要な能力であると多くの経営者や研究者は考えるようになりました。
ロジカルシンキング。和訳すると論理的思考能力ですが、そもそも論理というのは論理学という分野であって、数学との関連性についてはあまり考えてこられなかったんです。
しかし近年、京都大学の西村 和雄教授によって、その関連性が発見されました。以前述べましたが、大学受験で数学を使った人間とそうでない人間の年収を比較する実験が行われたんです。そこで得られたデータを基に論理的に物事を考えられるかどうかというのは、
数学力と密接な関係があるということが指摘されました。
このように数学を頑張った人間の論理的思考能力が高いという事実は比較的最近になって分かってきたことなんですね。



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