3つの人生戦略 [勉強の役割]


将来、安定した生活を送りたいと思えば、何かしらの資産がなければなりません。
その資産を手に入れるために日々頑張って生活をしているわけです。
では、その資産とはいったい何なのでしょう?
究極的には3つしかありません。
その3つとは、「お金」、「能力」、「信頼」です。
逆に一人の例外もなく、失い続けている資産が「時間」となります。
「時間」だけは増やすことが出来ません。
その大切な「時間」という資産を上の3つに変えてゆくのが、人生における目的の一つです。
今日はこの事についてお話をしていきたいと思います。

資産は利潤を生みます。
例えば、10億円を持っていて、年率1%で運用出来れば年収1000万円です。
普通に暮らすにはこれで充分ですね。
利子を生み出すほどのお金はなくても、貯蓄を取り崩しながら生活する方法もあります。
先に、その資産の中身を、「お金」、「能力」、「信頼」と定義しました。
「お金」についてはこれで説明が終了します。
それを充分に持っていれば、将来の安心につながるというわけです。
では、次に「能力」についてです。
これも難しくありませんね。
例えば、日本一経済学に詳しければそれだけで食べていけます。
例えば、プロ野球で活躍できる選手を育てられる能力があれば・・
例えば、人をマネジメントするのが得意であれば・・・
と、自分の能力次第で安定した生活は得られるわけです。
学校の勉強というのは、この面における投資ですね。
「お金」と「時間」という資産を、「能力」に変えるのが学業の本質です。
成功体験なども広い意味で「能力」の一部と考えることが出来るので、ここに含まれます。
なぜ、勉強をするのか?
その答えの一つはここにあります。
「お金」、「能力」、「信頼」の中で最も投資対効果(ROIと言います)が高いのが「能力」だからです。
「お金」は銀行に預けても、たいして利子を得られませんが、「能力」が生み出す利子は青天井です。マイクロソフトのビルゲイツなど、事例には事欠きませんね。
さて、上記二つについてはあらためて説明するまでもなかったかもしれません。
しかし、多くの人が見逃している第3の自分への投資方法があります。
「能力」ほどではありませんが、3つの中では「能力」に次いで投資対効果の高い方法です。
それが「信頼」。
どういうことか説明させていただきます。
たいして「能力」もないのに、他の人よりも年収が高い。
特に50代、60代くらいでこういう人はたくさんいるはずです。
私はその年齢ではないので、あくまでも推測ですが、この点に異論のある人はいないと思います。
そうした人たちは「お金」か「信頼」という資産で食べているのです。
例えば、大卒で大手企業に就職し、派手さはないが確実な仕事を40年続けてきた営業課長。
例えば、優秀な親友から誘われ、その友人の会社経営を助けている経理部長。
例えば、20代で司法試験に合格した60歳の弁護士(※「能力」とも考えられます)。
要するに、「能力」的には他の人と変わらない(あるいは劣っている)にも関わらず、周囲の人や社会からの「信頼」があるために他の人よりも年収を得ているケースです。
よく「人脈を大切にせよ」とか言われますが、他の人からの「信頼」があれば、自分の力量以上の収入を得られます。
さらに、司法試験、東京大学卒業、ハーバード大学MBAなどの資格は、それを持っているだけで相手からの「信頼」を高める効果があります。
しかし、そうした資格による「信頼」効果には限界があります。
やはり長期的な人間関係という「信頼」には勝てないでしょう。
ただ、ホームレスの友人が100人いる、と社長を務める友人が100人いるのとでは、同じ人間関係でも質に雲泥の差があります。
そういう意味では、付き合う相手は非常に大切ですね。

これまで、3つの資産について確認してきました。
では、どのように生きるのが良いのでしょうか?
両極端な二つのケースを見てみます。

①とりあえず、何をしたいのかもわからないし、自分の「能力」に自信がないA君の場合
→「お金」+「信頼」を貯蓄しながら、自分の「能力」を活かせる機会を待ちます
②大きな夢もあるし、自分には並以上の「能力」がありそうな気がするB君の場合
→30代までは、得た「お金」も「信頼」も「時間」も全て「能力」に投資します

まずは①のケース。
僕はよく20代、特に大学生には言うのですが、やりたいことがわからないのなら、とりあえず必死になって「お金」を貯めておけば良いのです。
就職した最初の会社はなるべく辞めないようにします。
必死になって、「お金」を貯めることを考えれば、結果的に良い仕事をします。
良い仕事は会社からの「信頼」につながり、そこから新しいチャンスが生まれます。
自分の「能力」を活かした仕事など、そう簡単に見つかるはずはありません。
そうした意味ではこれが最も現実的な選択肢です。
転職をすれば、それまで培った「信頼」という資産は大きく傷つきます。
ネガティブな退職をした場合、これまで「時間」を投資して得た「信頼」という資産価値はゼロになってしまいます。
転職をしてしまうと、年収が大幅にダウンする人が多いのはこのような理由にもよります。
「能力」に自信のない人にとって、安易な転職は絶対にタブーなのです。
次に、②のケース。
転職には、上記のようなネガティブな一面もあるのですが、新しい職場で色々なことを学べるというプラスメリットもあります。
言うならば、「信頼」という資産を失うかわりに、新しい職場で「能力」を得ることが出来るのです。
得た「お金」を学校に行くなどして、自分に投資すると同時に、色々な職場で新しい経験を積むのも一つのやり方でしょう。
B君の場合、自分の「能力」に集中して投資をしていく生き方が一番効率的かもしれません。

以上、3つの資産についてみてきました。
最後にリスクについてお話をします。
これは、投資の基本なのですが、選択と集中を行った方が投資効果は大きいです。
例えば、A株が最も騰がると思えば、全財産をA株につぎ込んだ方が稼ぎは大きいでしょう。
しかし、通常こういう投資は行いません。
なぜなら、そこにはリスクが存在するからです。
同様に、「お金」、「能力」、「信頼」、それぞれの資産にもリスクが存在します。
「お金」の場合。
インフレが起きて資産価値がゼロになる可能性があります。これは過去の人類の歴史を振り返れば珍しいことではありません。
もっと単純に、盗難にあう、詐欺にあう・・などのリスクも存在します。
「能力」の場合。
少し極端な例ですが、翻訳コンニャク(これを食べれば、誰でも外国語がぺらぺらになるドラえもんの道具)が発明されれば、これまで語学を必死に勉強していた人の知識はムダになります。
それは架空の話でしょ!と馬鹿にしてはいけません。
例えば、速記。
録音技術が進歩した昨今、速記が出来るだけで食べていける人はほとんどいないでしょう。
このような例には枚挙に暇がないのです。
そして「信頼」。
これも、それだけでは不安です。
何十年も勤めている会社が倒産したらそれまで、という人は珍しくありません。
倒産しても、「お金」か「能力」があれば食べていけますが、両方なければ悲惨です。
このように資産というのは、持っていればずっと安心という性質のものではありません。
50代も過ぎれば、3種の資産をバランス良く貯蓄しているのが理想的です。
しかし、それを得るために使える「時間」は限られています。
失敗が許される30代までは、どれかに集中した方が得られる資産は大きいものとなります。
自分自身がどういう生き方をしたいのかと合わせて考えるべき問題です。
・馬車馬のように働いて「お金」を貯めるのか?
・自分を信じて努力を続け「能力」を磨き上げるのか?
・愚直なまで誠実な人柄を貫き通し「信頼」を得るのか?
じっくりと自分自身と向き合いながら、考えるべき問題であり、これこそ人生戦略です。
(※戦略とは目的達成の手段の最適化のことを言います)

ここに書いてあることは子供にはまだ理解できないでしょう。
こうした原理原則をいかに噛み砕いて子供に伝えていくのか?
親の指導力が問われる場面でもあります。

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