原因療法と対症療法 [教育全般]


塾のお仕事は病院に似ています。
患者さんの状況に応じて、それに合わせた処置を行います。
病院と違うのは、健康になっても症状の予防のために通い続けることです。
他にも違う点はありますが、基本的には似たような立場なわけです。
症状の予防のために通塾される方はやはり少なく、大半の方は何らかの症状があります。
それを解決してあげるのが、こちらの仕事です。
病院と同じように、ほとんどの症状には処方箋があります。
しかも、ほとんどの症状は完治させることが可能です。
表面的な症状を緩和する処置は、対症療法と言われ一般的にはあまり良くないとされています。
根本的な原因に働きかける処置を原因療法と言いますが、塾の指導も同じように根本的な原因に働きかけることが大切です。
しかし、医学において対症療法が有効な場合もあるように、塾においても対症療法が必要な場面はあるのです。
いえ、むしろ対症療法が中心とさえ言えるかもしれません。
塾の場合、それはそれでいいのですが、一つだけ注意しなければならないことがあります。
それは、対症療法を行ないながらも、原因療法を忘れてはならないということです。
長期間、子供を塾に通わせて後悔する例として、対症療法しか行なわれなかったというものがあります。
では、学習塾における原因療法、対症療法とはどのようなものでしょうか?
例えば、3日後の定期テストで点数を取らせるための指導は対症療法です。
それに対して、ノートに丁寧な字を書くことが出来る、集中力がある、自主的に勉強をするようになる・・などは全て原因療法に当たります。
そうした根本的な問題を治すためには、原因療法が必要です。
そして、最も重要なのは以下の点です。

「学習における根本的な問題点のほとんどは、生活習慣に原因がある」

学校や塾で出来ることには限界があります。
学習塾の効果を最大限発揮するには、ご家庭の協力が欠かせません。
生活習慣のほとんどは家庭の生活において形成されるからです。
すなわち、

対症療法=塾だけで出来ること
原因療法=ご家庭と協力して出来ること

と言う事が出来るでしょう。
即効性のある処置はすべて対症療法となります。
一見して、学習効果が上がったように見えても、根本的な問題は解決していません。
言うなれば、塾の授業というお薬で症状をごまかしたに過ぎないのです。
素直な生徒には、特に塾のお薬が効きやすいです。
対症療法にも関わらず、根本的な問題が解決したように見える子供もたくさんいます。
しかし、これが怖いのです。
問題の原因を放置したまま、大学生になり、社会人になったときに、結局本人が一番つらい思いをすることになるからです。
では、学習における原因療法とは何なのでしょうか?
このブログの読者の方には申し上げるまでもありませんね。
「しつけ」です。
では、どういった点に意識的に気をつけて「しつけ」を行なうべきなのでしょうか?
これもよく書くことなのですが、「すぐやらせる」ことに尽きます。
やらなければならないことを後回しにしないこと・・ですね。
このやらなければならないことには、レベルがあります。
「宿題をしてからテレビを見なさい」
と言っても聞かない子供に、何度同じ言葉を投げても効果は薄いです。
むしろ、逆効果になるのでやめてください。
「勉強しなさい」と言われ続けると、子供は勉強しなくなります。
(→これをアンダーマイニング効果と言います)
「宿題をする=勉強する」というのは、この子供にはレベルが高すぎるのです。
この子供が抵抗なく、受け入れられるレベルから指導しなければなりません。
それは例えばこういうことです。
「靴をそろえなさい」
「椅子をひきなさい」
「制服を先に片付けなさい」
こうしたことを繰り返し指導して、子供の当たり前のレベルをあげていくのです。
「靴をそろえなさい」
これも出来ないのであれば、
「ごちそうさまと言いなさい」
でもいいかもしれません。
とにかく、子供の成長レベルに応じて、当たり前のことをきちんとやる。
やらなければならないことから先にやる、ことを指導するようにしてください。

最近の問題として、正しく叱れない親が増えてきました。
なぜ、正しく「叱る」ことが出来ないのでしょうか?
答えは「信念」がないからです。
「正しい信念」があれば、子供を叱ることは出来ます。
では、「正しい信念」はどうすれば身につけることが出来るのでしょうか?
答えは、古典や多くの人に読まれてきたベストセラーを読むことです。
そうした本物と呼べるような本は数多くはありませんが、たしかに存在します。
「論語」や「聖書」などから学ぶのも良いと思います。
デール・カーネギーの「人を動かす」、ジェームス・アレンの「原因と結果の法則」なども名作です。
こうした本は一回読んで終わりというものではありません。
自分の血肉となるまで何回も読んで初めて意味が生まれます。
僕の座右の書は、「7つの習慣」です。
何年か後にはまた変わるかもしれませんが・・。

それでは、今日はこの辺で。


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