夢と目標は違います [目的と目標]

10月26日

「目標意識を持たせなさい」

僕が改めてこう指摘するまでもなく、これまで色々な場所で耳にされた言葉かと思います。
けれども、
何で目標を持たなければいけないのでしょうか?
そもそも目標意識を持つってどのレベルまでを言うの?
夢やビジョンと目標の違いって何?
様々な本を読んできましたが、この回答に明確に答えてくれる本はなかなか見当たりません。
ただ漠然と目標を持ちましょうと言われるだけです。
これではいけません。
私の会社のセミナーでも行っているのですが、「目標」についてまず先に定義しなければなりません。

目標という言葉よりも先に考えて欲しい言葉があります。
それは、ビジョンです。
子供の場合だと≒「夢」でいいでしょう。
「夢」という言葉の定義は少し難しいですが、ビジョンには定義があります。
それは、「○○年後のあるべき姿」です。
私が考えるに、ビジョンには条件があります。
・それを考えると、ワクワクすること
・シンプルであること
・イメージ出来ること
この3つです。
何年先でもいいのですが、中期ビジョンで5年、長期ビジョンで10年以上を考えるのが一般的です。
しかし、ビジョンはそのままでは達成出来ない場合がほとんどです。
ですので、ビジョンを実現するために段階的なステップを設けます。
それが目標です。
目標とは以下の「SMARTの定義」に当てはめられるものを言います。
そして、長くても一年以内に目標は設定されなければなりません。

「SMARTの定義(英語訳は省略)」
S 明確であること
M 測定可能であること、あるいは出来たかどうかが検証可能であること
A 現実的で達成に努力を必要とするもの
R 達成可能であること
T 達成期間が限定され、期限が決まっていること

上記の基準に満たないものは目標ではありません。
夢やビジョンは何でもいいのです。
とにかく本人にとってワクワク出来るものであれば・・。
しかし、目標は違います。
現実的に達成出来るものでなければ、目標とは言えません。
効果が分かっているものなければ目標とは言えません。
そのためには基準を定数化して考えられるようにする必要があります。
どういうことかと言うと・・
一年後に計算ミスを減らす→×
一年後に計算ミスを10%以下におさえる→○
本を読む→×
一年後までに30冊の本を読む→○
漢字の勉強をする→×
一日10分の漢字勉強を1年間続ける→○
教育ではありませんが、同じ現象は職場でも見られます。
お客様にとって喜ばれる応対をする→×
お客様の8割以上に「ありがとう」と言われる応対をする→○
こういうことです。
数字にして考えられなければ目標とは言えません。
ビジョンとの区別も必要です。
プロ野球選手になる→夢やビジョン
毎日素振りを100回する→目標
○○高校に合格する→現時点で現実的でなければ夢やビジョン
いかがでしょうか?
目標とはどういうものか、夢やビジョンとの違いを明確にしないといけません。

まず先に夢やビジョンを考えます。
こうしたものを持たせられるかどうかは周りの環境次第です。
端的に言ってしまえば、親や教師が輝いていれば子供は将来に夢を持ちます。
子供から夢を奪う言葉を僕は「マイナス発言」と命名し、職場から追放していましたが、それが、「疲れた」、「もう嫌だ」、「あいつが嫌い」、「世の中が悪い」、「楽しいことがない」・・こうした言葉です。
もし、こうした言葉に子供が日常的にさらされていて、夢やビジョンを持てないのであれば、心の治療が必要です。心の治療と言っても、何も難しいことはありません。
何か偉業を成し遂げた人の講演会に行くとか、野球やサッカーの観戦に行くとか、とにかく全力で頑張っている人を見せることです。(ちなみに僕の心の栄養は「情熱大陸」です)
なぜ夢やビジョンがないとダメなのかと言えば、それがエネルギーの源だからです。
成功者はそれを知っているので、夢やビジョンを紙に書いていつもながめています。
そういう手帳も売っていますね。
それに対して目標はあくまでも現実的なんです。
○○年後にこうなっているためには、半年後にはこうならなければいけない。
このように明確に言えないといけないし、それを想像して、ワクワクするといったものでもありません。
たまにこういう人がいます。
目標があればいいんでしょ?
いけません。
目標はそれを達成すると燃え尽きてしまうからです。
雪山の遭難者の遺体は山小屋の手前で見つかることが多いそうです。
これは死に物狂いで働いていた遭難者の脳が山小屋を見て安心するかららしいです。
脳の活力がそのせいで下がってしまい、体が前に進まなくなるんですね。
似たような現象は受験でも起きますし、これを「燃え尽き症候群」と言います。
「燃え尽き症候群」にならないためには、その先のビジョンがないといけないのです。

ビジョンや夢は自然に持てるように、周りの大人が支援します。
ビジョンや夢をSMARTの原則に当てはまるように、目標として細分化することも大人の仕事です。
自立していなければ、その両方を子供だけでは出来ません。
最初は支援が必要ですが、そうやって目標を段階的にクリアして、数年前のビジョンを達成した経験を持つ子供はそのうちそうした事が自分一人で出来るようになります。

そういうことを自ら出来るような人間を育てることが、我々大人の使命です。


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die_katze

なるほど。夢と目標は別物。夢を実現するために、目標はできるだけ具体的に評価できるものにすることが大切なんですね。
この2つを明確に区別することで、夢と目標との距離がはっきりと意識できるようになれば、将来に希望が持てる人がもっと増えるのではないかなという気がしました。
せんせいさんのブログは、いつも勉強になります。
by die_katze (2009-10-27 10:55) 

せんせい

>die_katze 様
コメントありがとうございます。
夢ばかり語っていても、現実的でないですし、成功体験による動機付けにもなりません。逆に目標ばかりを押し付けられても、面白みがないので、子供は嫌になります。別のものとして考えればいいと思ったのです。
by せんせい (2009-10-27 13:29) 

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