外発的動機付け [モチベーション]

10月2日

9月28日のブログで子供のモチベーション管理についてお話しました。
今日は少し学問的な内容になるので、小難しい話が嫌いな方は読み飛ばしてください。

動機付けには二つあり、そのうち外からの刺激によって与えられる動機付けを「外発的動機付け」と呼ぶというお話をしました。子供へのテスト報酬しかり、会社でのインセンティブしかりです。
子供に対して「外発的動機付け」は望ましくないので、「テストで満点が取れたら2000円」のようなことはするべきではないということを心理学者デシのお話を引用しながら説明させていただいたわけです。
この点についてもう少しお話を進めた方がよいと判断したので、その内容をもう少し補足したいと思います。

おもしろがってやっていた行為が、何かの報酬をもらうための手段だとみなされてしまうと、もともともっていた内発的な興味が失われてしまう」ということをデシは「アンダーマイニング効果」(減退効果)と名づけました。
「アンダーマイニング効果」を引き起こさないために、もともと興味を持って行っている行為に対して「外発的な動機付け」は行うべきではないというのがデシの観察ですが、デシはこういうことも言っているのです。
「外発的動機付け」が必ずしもダメなわけではないと。
「・・・?」
ですよね。
では、どういう場合において、「外発的動機付け」が有効なのでしょうか?
デシは最初からの「内発的な動機付け」が全く見られない場合と言っています。
つまり、「外発的動機付け」における問題点は「内発的動機」を弱めてしまうことであり、そもそも初めから「内発的な動機」が存在しなければ、「外発的な動機」から入るのも悪くないという意見。
なぜなら、外発的な動機は注入の段階、同一化の段階を経て、内発の段階へと進むことがあるからです。
その内面のプロセスを支えていくことが重要な役割であるとも言っています。
デシの主張をすごく簡単に言ってしまえば、
「勉強に関しての興味や関心が全くないんだったら、お金で釣るのもアリだよ。」
「でも、それは最初だけだよ。」
「勉強を学ぶ純粋な喜びにつながるまではフォローは忘れずにね。」
ということを言っているわけです。

僕の観察では家庭でこれを行うのは、現実的には難しいのではないかと考えています。
どこが難しいのかというと、「継続的なフォロー」です。
そもそもお金で子供のやる気を引き出そうという考え自体、短絡的だと言えるでしょう。
そうした短絡的な行動を考える人が、この「継続的なフォロー」といった面倒なプロセスを行えると思えないのです。これが出来るくらいの人であれば、そもそも子供の勉強に対しての興味や関心が全くゼロという状態にはならないと考えています。
わからなくなってきた・・という理由で興味関心がゼロに見える子供は確かに多いですが、ほとんどの子供は「わかる」ようになれば興味や関心を取り戻します。
重要なのでもう一度言います。
子供は勉強がわからないから興味関心がゼロに見えるのです。
ですので、まず重要なのは「わかる」ようにさせることです。
「わかる」ようにさせてみても、興味や関心ゼロというのであれば、策を考えなければなりません。
しかし、「わかる」状態であれば、テストの点数はいいので、報酬による動機付けは不要ですよね?

僕は基本的にYES、NOを明確にします。
読者が混乱しないためにです。

曖昧な部分にメスを入れるとどうしても議論が難しくなるので、なるべく避けていますが、今回は少し突っ込んだお話でした。最後にもう一度まとめます。

お金やモノを与えてやる気にさせるのなら、バカにでも出来ます。
そうでないところから「やる気」を引き出すのが、いい親だと言えるでしょう。


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