小論文の書き方 [国語]

6月30日

今日は「小論文」の書き方についてお話します。
「小論文」と簡単に言っていますが、実に奥の深い世界でまじめに書き出せば何日あっても足りないので、今回はさらりと基本だけお話していこうと思います。
まず、他の「作文」と何が違うのかを言わせてください。
大事なことなので大きな声で言いますね。

自分の意見を客観的な立場から証明するのが、小論文なのです!

そういうことなのです。ご理解いただけましたか?
少し説明を加えますね。
「僕は今日、山に登りました。とても気持ちが良かったです。」(日記)
「この本を読んで戦争の愚かさについてよく分かりました。」(読書感想文)
これらの文章にあるのは、所感です。所感とは心に感じたことです。
心に感じたことは主観的な意見です。
僕はどう思ったのか?という立場ですね。
小論文に求められるのは、主観的な意見ではありません。
客観的な立場に立った上での自分なりの意見なのです。
客観的な立場に立つとはこういうことです。
「戦争は嫌だ」
→戦争に行くのは、誰でも嫌です。これは主観的な意見。
「戦争は心の底では誰も望んでいないが、実際に起きている」
→これが客観的な事実。
「戦争はなくさなければいけない。そのためにはまず・・」
→客観的な事実を踏まえた上での、自分なりの意見。
いいでしょうか?
まずは自分なりの意見があると思います。所感で構いません。
それだけでは論文にならないのです。
それは日記か感想文です。
客観的な立場からそれを論証出来てはじめて論文になるのです。
それが出来ればどんな書き方でもいいのですが、簡単な「型」があります。
基本の「型」を完璧に使いこなせるようになってから、自分なりの書き方をマスターしていくようにしてください。

この書き方で書けば、必ず論文になります。
最も簡単な方法です。

①まず初めに自分の意見をYESかNOで述べる

②客観的な事実を述べる

③それに対しての反論を書く

④もう一度自分の意見を述べる

これで終わりです。
小論文で少し難しいのが、問題のテーマが漠然としている場合です。
自分の意見を述べるためにはYESかNOの立場を明確にしなければなりません。
こんな課題が出たときはどうすれば良いのでしょうか?

「地球環境問題について論じなさい。」
YESかNOで答えようがありません。
この場合は問題提起が必要になります。
例えば、こんな具合に無理やりYES、NOの立場を作るのです。

解答例)
現代社会における最も身近な環境問題とは、地球温暖化だろう。
地球温暖化現象によって引き起こされる様々な環境問題が毎日のようにニュースで流されている。
それでは、温暖化は私たちにとって最も深刻な環境問題と言えるのだろうか?
答えはNOだ。
マスコミの報道によれば、地球温暖化が環境に与える深刻な被害の実態は以下のようなものである。
海水面の上昇、世界各地での異常気象の発生・・・・

注目していただきたいのは、環境問題という漠然としたテーマを温暖化現象という問題に絞り込んでいる点です。そして地球温暖化が本当に深刻なテーマなのかというように問題提起をした上で、NOと言っているわけです。その後に続く客観的な事実に対しての反論はそのデータの矛盾点を突いてもいいですし、温暖化よりも深刻な環境問題を提示して、その危険性について話をするという方法もあります。

僕はあえてNOの立場で例文を書きました。実はこれもテクニックなんです。
このテーマの場合、常識的に考えるとYESですよね?
でも、場合によっては一般論に対してNOの立場の方が書きやすいのです。
なぜなら客観的な事実がたくさん出てくるからです。それに一般論にNOを突きつけると言うのは、テストなどの採点者からすると非常に魅力的な論文に見えます。
論文の世界では非常識な人間の方が高い評価を得られるのですね。
例えば、
「いじめをなくす必要はない」
「戦争をするのはいいことだ」
「義務教育を廃止するべきだ」
などと書かれると採点者は非常に興味をそそられるわけです。
一般的な常識とは違う意見ですからね。
論文は道徳的な善悪を問うているわけではないのです。
自分の意見が書かれていて、それについての論拠が正しければ正解なのです。
自分では「いじめは大嫌い」と思っていても、「いじめ大好き」の立場の方が客観的に見て正しい意見を書けるのであればそのように書けば良いのです。
別にそうした論文を書くことが悪いことではありません。
論文を書くという特殊な環境だからこそ、逆の立場に立ってみることに価値があります。
あえて、反対の立場に立つことでより深く多面的に問題点を分析することが出来ます。
「いじめ大好き」の立場からいじめっ子の本質を見直すことで、「いじめ」や「差別」の
抜本的な解決策を見つけることが出来るかもしれません。

「小論文」についてまとめます。
これが出来ていなければ0点です。
①自分の意見が言えていること
②客観的な立場から論じていること
特に①。どういう立場なのか分からないのは絶対にダメですよ。
立場は必ず明確にしてください。
分かりやすく言えば、賛成なのか反対なのかということです。
賛成も反対も出来ないような漠然としたテーマなら問題提起から始めること。
これが鉄則です。
②も大切です。自分の意見の正当性をきちんと証明出来ていなければいけません。
「どう思った」だけでは論文としては価値がありません。
客観的な論文を書くためのコツを教えます。
それは、「~と思う」という表現を使わないことです。
すべて言い切ること。それだけでかなり具体的な文章になります。

細かい内容には今回は触れませんでしたが、もしお子様の「小論文」を添削するようなことがあれば上記の点に注目してください。中学生なら、基本の型通りにやれば必ず書けるようになります。しつこいようですが、何が言いたいのかの確認だけはしっかりと。

では、明日は国語の「知識」分野についてのお話を進めます。

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