難しすぎる本を読ませてはいませんか? [国語]

6月24日

本の内容が難しすぎると、内容のイメージがつかめない。
イメージにならないから、本の楽しさが理解出来ない。

それなら本の内容がイメージ出来れば、楽しいと思って読めるのでしょうか?
答えは多くの場合「YES」です。
例えば、小学一年生向けの「桃太郎」だったとしても、子供は内容を楽しめます。
余程、面白くないストーリーでなければ良いのです。
大切なのは、それを理解しながら読んでいることなのです。
もう一度言います。
大切なのは、それを理解しながら読んでいることなのです。
・・・・・
何か気付いていただけましたか?
そうなんです。
子供は本の内容を理解して読んでいないから、本が面白くないのです。
えっ?当たり前じゃないかって?
いいえ。
違います。
もう一つ大切なことをお話します。
子供は自分が本の内容を理解しているのかいないのかを自覚出来ません。
きちんと読めているかどうかの判断を自分では出来ないのです。
本を読んで活字を追うことは出来るのです。しかし、最後のページまで活字を追い続けたからと言って、本の内容を理解することが出来たかは別問題です。
これは恐ろしいことです。
この経験を読書だと認識してしまうことで、読書=面白くないものという回路が出来上がってしまうのです。
これが、読書嫌いの原因です。
皆さんも似たような経験がありませんか?
例えば、僕は未だに海外古典文学を読むことが出来ません。
原文ではなくて、もちろん日本語訳されたものですが、読めません。
背伸びをしてチャレンジをしてみるのですが、苦痛で苦痛で死にそうになります。
想像してみてください。
もし、そんな理解の出来ない内容の本ばかりを強制的に読まされていたとしたら・・。
そりゃ読書嫌いになりますよね?
斉藤孝教授という方がおられます。
有名な方なので、ご存知の方も多いのではないでしょうか?
「声に出して読みたい日本語」など数々の著作を持たれています。
日本の国語界におけるキーパーソンの一人だと思いますが、斉藤教授は夏目漱石の「こころ」とか日本文学の名作を子供の頃からどんどん読ませるべきだと述べられております。
斎藤教授の著作は好意的に読ませていただいていますし、ほとんどの著作を読ませていただきました。素晴しい方だとも思っています。
しかし、その意見には大いに疑問を感じています。
斎藤教授が実際に授業をされるのであればそれでもいいでしょう。
彼ほど指導力に優れた人間ならば、たとえどんな難しい教材でも小学生に素晴しい授業を出来ると思います。
子供がしっかりと理解するまで面倒を見てあげるのなら問題はありません。
現実問題として、学校には学習指導要領があります。与えられたカリキュラムをこなしながら、それを指導するのは並大抵のことでは出来ません。宿題で「こころ」を読ませて、後はほったらかしといったことがないかと心配するのです。
学習指導要領に加えたところで、果たしてどれだけの先生がその魅力を子供達に伝えることが出来るのでしょうか?子供の間は魅力が分からなくてもいいという意見もありますが、魅力の感じないものに真剣になるほど子供は単純ではないのです。
夏目漱石の「こころ」なんて大人でもなかなか理解出来ないのに、そんなレベルの本を子供に自由に読ませて読書好きになるとは到底思えません。
またしても「理想論」です。
良質の文学に触れさせることで、子供の感性の豊かさを養うという目的は結構ですが、そもそも読書の習慣がない子供に、どのようにその違いを理解させるのでしょうか?
そんなものは、段階を追って学べばいいのです。
まず初めにありきは、読書の楽しさを知って大量の活字に触れることでしょう。
現場で指導をしていると、身の丈に合わない本を読まされて、読書がどんどん嫌いになっていく子供達をたくさん目にすることになります。

では、どうすればいいのか?
きちんと内容を理解出来ているレベルの本を選んで読ませる必要があります。
そこで、子供が本を理解して読んでいるかどうかを確認する簡単な方法を提案します。
自分で確認できないのですから、親が確認してあげるしかないのです。
本を読み終わったら、その本の内容を子供に聞いてみてください。
支離滅裂な内容しか言えなければ、理解していません。
ストーリーを大人にわかるように話すことが出来れば、理解していると言えます。
このようにしていると衝撃的な事実が発覚するかもしれません。
中学2年生でも、小学5年生くらいの本でなければ、ストーリーを説明出来ないというケースが出てくるのです。
でも、それが今の実力だと認めるところから読書習慣は始まります。
先に述べたように、簡単な本だから面白くないとは限りません。
内容をイメージ出来れば、簡単な本でも充分に楽しんで読めるのです。
まずは、そのレベルの本を読むことを習慣化することです。
読書は一ヶ月に3冊は読んで欲しいところですが、初めは1冊でも構いません。
実は、「読解力」を身につけるという観点から言えば、活字さえ読めば本でなくても構いません。
塾の生徒で勉強を全くしなくて、本もほとんど読まないという生徒がいましたが、読解力だけは抜群の生徒がいました。彼が何をしていたのかと言えば、サッカー好きだったので、サッカーに関しての新聞記事やスポーツ誌を毎日のように読んでいたのです。
この少年のように、読解力の源は、必ずしも本である必要はありません。
とにかく活字を読ませる習慣を一日も早く身につけることが大事です。

漫画を読まない生徒に対しての対応はこれがヒントになると思います。
明日はそれについてお話を進めていきます。


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