21世紀型人材に最も求められる能力 [数学]

6月1日

21世紀型人材として最も求められる力は、「論理的思考能力」と「コミュニケーション能力」です。
この二つがあれば、どの会社でもデキル人材として重宝されます。
今の社会構造が大きく変わらない限りは、一生リストラや失業とは無縁の生活を送れるでしょう。
両方兼ね備えた人材は驚くほど少ないからです。
ある人材採用のプロに言わせれば、その割合はなんと400人に一人程度らしいです。
しかし、難関大学の数学の受験問題を解ける人材の割合が非常に少ないことを見ればこの数字には説得力があります。
論理的思考能力だけで考えれば、難関大学の理系学部の学生に優秀な人材が多いと言えると思いますが、コミュニケーション能力の有無は文理とは関係ありません。
むしろ文系学生の方がコミュニケーション能力のある人間が多いような気がします。
コミュニケーション能力は勉強だけで身につく力ではありません。
もちろん、勉強でもある程度までは習得可能ですが、こればかりは実際の人間関係の中で鍛えられた人間の方が強いです。日本企業の中で生きていくのに最適のコミュニケーション能力習得の場は学校の部活です。
特に体育会系は強いです。
日本の企業の中には東大の学生よりも、どこの大学でもいいからとにかく体育会系が欲しいという会社もあるほどです。体育会系は体力があるからとかそんな単純な理由で重宝されているのではありません。
多くの体育会系の学生には人間関係における粘り強さがあります。
その点を評価されているのだと僕は考えています。

それでは前回の続きに入ります。
なぜ数学を頑張ると、論理的思考能力が身につくのでしょうか?

皆さんは数学というとどんな単元を思い浮かべるでしょうか?
文字式?一次関数?あるいは連立方程式でしょうか?
すべて中学校数学で習う単元ですが、俺は中学校数学までなら完璧だったとおっしゃられる方は比較的多いと思われます。
では高校数学は?と聞くと何割の方が完璧だったと答えられるでしょうか?
文部科学省の調査によると、一般に学校の授業の理解度は「7割、5割、3割」と言われています。単純に考えるなら、10人のうち5人の大人は中学校内容までを理解して、3割の大人が高校内容を・・となるはずですが、ここで注意が必要です。
今の学校教育のシステムには文系、理系という区別があります。数ⅢCまでの学習をほぼ理解していたという大人は全体の1割にも満たないのではないかと思います。
つまり高校で習う高度な数学の単元に関しては、自信を持ってやりきったと言われる方は驚くほど少ないんですね。僕はその割合を全体の約5%と見ています。

先程、中学までの数学は完璧だったと思われた方には非常に申し訳ないのですが、実は中学数学と論理的思考能力はあまり関係がありません。
唯一、関係のある単元が図形の証明問題です。
証明問題の流れは「何を証明すれば答えにたどりつけるのか」をまず考えることですよね?証明までの道筋を考えて、矛盾がないように注意深く論理展開を進めていくというこの流れは、まさにロジカルシンキングです。

僕は高校生になって勉強を放棄しました。特に数学嫌いはひどく、受験でも全く使っていません。
今思えば、これは非常にもったいないことをしたと思います。
大学受験で数学を使った方はよく分かると思いますが、大学受験における数学は単なる計算ではありません。用紙一枚与えられて、問題文が2、3行で、残りは論証のためのスペースというのが難関大学の入試問題のパターンです。ほとんどの問題が数式による証明問題であると言っても差し支えありません。
まさに論理的思考能力を問われていたわけですが、このレベルの数学の問題を解きこなすことで論理的思考能力は飛躍的に上昇します。
数学の勉強はこの日のためにあったと言っても過言ではないくらいです。

では中学校までの数学は何を問われていたのか?というと「計算力」と「暗記力」です。
中学までの数学は公式と解法の暗記科目なのです。
しかし、その「計算力」と「公式と解法の暗記」こそが、高校数学の世界に入れるための必要条件になってきます。これまでの内容をまとめると、

論理的思考能力は非常に重要な能力である

論理的思考能力は数学の勉強で身につけることが出来る

論理的思考能力は中学校までの数学ではほとんど身につかない

論理的思考能力を身につけるためには、高校数学まで経験しなければならない

そのための基礎になるのが算数と中学校数学である

ゆえに算数と中学校数学も大切である

一番もったいないのは中学までの数学が完璧で、それ以降、数学の学習をやめてしまったというパターンです。これは本当に勿体ないので、お子様は絶対にそうならないように導いてあげてください。
では、数学が苦手だったときはどうすればいいのか?
高等数学で得られるメリットを考えれば、無理をしてでも勉強をさせて欲しいところですが、どうしても出来なかった場合は違う手段で思考力を鍛えるしかありません。
それが以前お伝えした「なぜ?」と問いかける習慣です。
でも、何度も言いますが、数学ほど論理的思考能力を磨くのにいい教材はないのです。
将来の仕事で確実に役立つ力が勉強で身につくのです。しかも、大学受験でそれを使えば、受験のための勉強時間の節約にもなります(いずれ述べますが、数学を選択したほうが大学受験は有利です)。まさに一石二鳥と言える高等数学。やらない手はありません。
前述の習慣で論理的思考能力は身につくかもしれませんが、それでも確実に身につくとは言い切れません。
なぜかと言えば、思考停止が可能だからなんです。
数学は答えが出るまで考え続けることを求められますが、世の中の問題について考えるのは、途中で答えを探すのが面倒になり、「そういうことでまぁいいか」となってしまう可能性がかなり高いのです。だから思考力のトレーニングとしては、数学が最適なのです。

僕は、この論理的思考能力とコミュニケーション能力を身につけた人間を育てるのが学校教育の重要な役割だと考えています。どちらも社会で必須の能力だからです。
そのためには「ゆとり教育」なんてとんでもなくて、詰め込み式の学習こそが教育の本来の姿であるべきです。
しかし同時に、学校教育にどうしても馴染めない生徒の心のケアの問題は非常に重要です。
いじめや不登校といった大きな問題に限らず、学校の勉強についていけない生徒がたくさんいるのも事実でしょう。そうした生徒をほうっておくわけにはいきませんが、その問題の多くは親の力で解決可能な問題です。
遅れてしまっても、そっと背中を押してあげるだけで子供は多くの場合、集団の中に戻ることが出来ます。
他の生徒は遅れてしまった本人が思うほど先に進んでいないからです。
学校の勉強についていけない理由の一つは勉強が楽しくないからです。
勉強が楽しくないのは「勉強の仕方」が分からないのと、「勉強の習慣」がないからです。
それをさりげなく伝えるのが親のあなたの役割です。

本日、重要な話にもかかわらず無視して先に進めてしまった内容があります。
「中学校までの数学は計算力と公式と解法の暗記です」と言ったのを、覚えておられますか?
それだけでいいの?と思われるかもしれませんが、実はそうなのです。
次回はそのお話を中心に進めたいと思います。

※数学が実生活にどう役立つのか?というテーマですが、物理学者のように数字を日常的に使う職業に就いた人間がそれを必要とするのは、当たり前の話なので、それについては述べていません。
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